定番実験としてよく知られているアンモニアの噴水実験。通常は加熱や乾燥作業を行うが、今回はその手間を省き、省コストで行える方法を実践した。
動画
・試薬
水酸化ナトリウム:1.2 g
塩化アンモニウム:1.2 g
フェノールフタレイン溶液:適量
・器具
丸底フラスコ50 ml,三角フラスコ200 ml,試験管2本(内一本は薬さじを入れて置く用),薬さじ,薬方皿,試験管立て,ろ紙,セロハンテープ,電子天秤,薬さじ,純水入り洗瓶,ガラス管(内一本はろ紙を巻き付ける用、もう一本はアンモニアの捕集用)
・安全対策等
アンモニアガスが発生するので換気に十分注意する。
丸底フラスコは完全に乾いたものを使用する(アンモニアが溶けてしまわないように)。
アンモニアガスの上方置換では、ガラス管をフラスコの奥深く差し込むこと。(フラスコ内の空気を排除するため)。
操作を手早く行わなければ、捕集したアンモニアが空気中の水分に吸収されてしまう。
反応熱が発生するので、火傷に注意する。
・仕組み
塩化アンモニウム NH4Clと水酸化ナトリウム NaOHを純水で溶かして反応させると、弱塩基の遊離が起こり、アンモニア NH3が追い出され、NaClと水 H2O を生じる。
NH4Cl+NaOH → NaCl+NH3+H₂O
生成したアンモニア NH₃は、分子量 17 の軽い気体なので上方置換によって捕集する。アンモニアの生成の確認として、今回はpH試験紙で確認した。アンモニアのpHは、アンモニアが水に溶解する際の電離定数と水のイオン積から、10~11程度であることは算出することができる。
NH3+H2O→NH4++OH–・・・電離定数Kb=1.8×10-5〔mol/L〕
H2O→H++OH–・・・水のイオン積KW=10-14〔mol/L〕2
〔OH–〕=√CKbの対数をとってpOHを出し、14からpOHを引けば良い。
また、アンモニアは、25℃において、1 mLの水に、実に600 mL以上も溶解する。今回は、湿らせておいたろ紙の水にアンモニアの一部が溶解することにより、フラスコ内が減圧状態となり、そのために下から水が吸い上げられていく。フラスコ内に流入した水に更にアンモニアが溶解することで、噴水が継続する。アンモニアは水に溶解してアルカリ性を示すため、吸い上げられた水の中のフェノールフタレインの性質から赤紫色を呈する。
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※都留文科大学理科教育の一環