今回は、マッチ一本で行える工作実験を試してみた。
動画
・準備物
アルミホイル、マッチ、クリップ、エナメル線(直径0.4mm)、チャッカマン
・注意
マッチを飛ばすため、他のものに引火しないように、燃えやすいものはあらかじめどかしておく。
(※屋外推奨。消火用に水入りバケツ等を用意しておくとよい)
・操作
1.マッチとエナメル線を平行に合わせ、アルミホイルでマッチの半分から3分の1程度覆うように巻いていく。
(※今回はアルミホイルの短辺3㎝、長辺10.5㎝で行った。また、マッチと巻くものは真っ直ぐのものの方が良いので、シャープペンシルの芯を用いると安価で扱いやすいかもしれない)
2.巻き終えたら、先端をしっかりとねじる。
(※先端からガスが漏れないようにするため。隙間があると失敗の可能性大)
3.クリップで作成した発射台にマッチをセットし、エナメル線を抜く。
(※エナメル線は、ガスの噴射口を作るため。エナメル線を抜く際は、作った通り道を潰さないように抜くことと、噴射口はクリップに接して自重でつぶれないように上側に来るように設置するとよい)
4.火薬の部分をチャッカマンで加熱する。
(※温度の高い炎の先端ではアルミホイルが溶けてしまうかもしれないので、内炎で加熱するとよい)
跳ぶ理屈としては、火薬が爆発したその爆風が噴射口から排出されることによって飛ぶと考えられる。アルミホイル内の空気が急激に膨張する爆風で飛ぶために、それが噴射口以外から漏れてしまうと、マッチを飛ばすほどの推進力が得られず飛ばない可能性がある。また、噴射口がマッチと並行でないと、噴射口の方向にマッチが飛んでしまい、回転しながら飛んだケースも見られた。そのために、マッチと平行な噴射口を作ると真っ直ぐに飛ぶと考えられる。また、噴射口の直径が小さいほどよく飛ぶことが観察できたが、同じ時間で同じ空気量が噴射口から出ていく際、噴射口が小さいほうが空気が出る速度は上昇すると考える。
穴の大きさをA、そこから出る力の速さをV(今回は膨張した空気の量)、時間をtとすると、
外に出る空気量=V・A・t
となる。
単位時間あたりの空気量が変化しないとすると、上記よりも噴射口が10分の1小さい場合、
外に出る空気量=10V・0.1A・t
となり、空気が噴射される速度が上昇し、運動エネルギーが大きくなるために遠くまで飛ぶと思われる。
・運動エネルギーの計算
1/2mV²で、噴射される空気の量(m)が不変として、速度がVの場合
運動エネルギー=1/2mV²
速度が10Vの場合
運動エネルギー=1/2m・100V²
よって、100倍もの運動エネルギー差が生まれるために、遠くまで飛ばす際は噴射口を小さくする必要があると考える。
今回の問題点としては、次の4点が挙げられる。
1.エナメル線やクリップでは真っ直ぐな噴射口が作れていなかった。
2.噴射口が上側にセットできていなかった。
3.ガスが先端から漏れてしまっていた。
4.火薬の爆発に耐えられる強度になるまでアルミホイルを巻けていなかった。
1はシャープペンシルの芯を用いることで解決できると考える。
2は操作を気を付ければよいと考える。
3、4はしっかりと先端を捩じる、加熱を低温で行うことで解決できると考える。アルミホイルを増やして補強をすると、重量が増加して飛ばなくなる可能性が考えられる。改善を施して再度実践してみたい。
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※都留文科大学理科教育の一環