酸化銅の還元 まさかの煎餅で…?

今回は、酸化銅の還元を、変わったモノを用いて実験してみた。

 

動画


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酸化銅の還元には通常、炭素の粉末などを使用する。逆に言えば炭素を含んだものがあればよいので、炭水化物である煎餅を使用した。

  1. 先ずは銅を加熱して空気中の酸素と化合させ酸化銅を作成する。
  2. 次に酸化銅と煎餅を約 40:6 の割合で混合させ、乳鉢でしっかり混ぜ合わせる。
  3. 先ほどの混合物を試験管へ薬包紙等を用いて移し、スタンドに加熱しやすいように固定する。その際、試験管の口を少し下に向ける。(※発生した水が突沸して試験管が割れてしまわないように、水が試験管口に行って加熱を免れるようにするため
  4. 試験管に気体誘導管を取り付け、石灰水を入れた三角フラスコに先を入れる。(発生した気体を調べるため)
  5. 加熱をし、様子を観察する。
  6. 観察が終了したら、三角フラスコから管の先を抜いてから、加熱を停止する。(※加熱を先に終了すると、試験管内の圧力が下がり三角フラスコ内の石灰水が逆流し、まだ熱い試験管部分に触れて突沸し試験管が割れることを防ぐため)
  7. 試験管が冷めたら中身を取り出し、薬さじで擦る。

 

反応としては、

 

酸化銅と煎餅は…

2CuO + C ・ (H₂O)y → 2Cu + H₂O + CO₂

 

酸化銅と炭素の場合(通常で行われる実験の場合) ※比較のため

2CuO + C → 2Cu + CO₂

 

煎餅(炭水化物)を用いたものは、煎餅内のH₂Oがそのまま発生するため、反応はどちらも同じといえる。

 

煎餅を用いるメリットとしては…

  • 酸化銅も炭素も同じ黒色。そのためしっかりと混ざっているか分からないが、煎餅なら簡単に確認可能→反応の過不足を防ぐことが出来る
  • 水が発生するため、実験に必要な危険に対する知識を認識させることが出来る。→炭酸水素ナトリウムの熱分解でも同じ状況がある

  還元は勿論、二酸化炭素が出来る際に酸化も起こっている。この実験で2つの反応が起こっている事に注目したい。また、炭素粉末のような純粋なものの必要は無く、炭素を含むもの(炭水化物である煎餅やラーメンなど)なら使用可能である。

  銅を加熱している際、色の変化が見られる。これは空気中の酸素と反応することで酸化被膜ができ、その厚さやできた面の粗さなどで光の干渉現象が起こり、様々な色が見られる。これはシャボン玉がカラフルに見える原理と同じ他、酸化被膜はさびが出来ないようにするために使われていたりもする。

 

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都留文科大学理科教育の一環

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