牛乳とレモンで絶品チーズ作り! コロイドと塩析が関係…?!

今回は、牛乳を用いて絶品チーズを作ってみました。

 

動画


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約60℃まで温度を確認しながら焦げないように弱火で加熱し、その後に火を止めてレモン汁を加える。そしてガーゼでこせば、カッテージチーズが完成する。(※温度を上げすぎると変質の恐れがある。)

 

牛乳は水分を主として、乳脂肪やタンパク質やミネラル等からなる物質である。それぞれの成分は原子やイオンほど小さくはないが、肉眼で観察できる大きさではないまあまあな小ささの粒子である。その一定の大きさをもつ粒子をコロイド粒子と呼び、その溶液をコロイド粒子と呼ぶ。牛乳に含まれるたんぱく質カゼインという成分が脂肪(疎水性)の周りを囲んでコロイドを作り安定させる。このような働きをする親水コロイドを保護コロイドといい、カゼインによってできるこの粒子をミセルと呼ぶこともある。

(下図:自作)

 

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カゼインミセルは表面がマイナスであり、互いに反発することで塊が出来ることがない。しかし酸(今回はレモン)を加えることでマイナスの表面がプラスに傾き、最後にはプラスマイナスの偏りが無くなる0の状態になる。そのことによって反発しなくなり、互いにくっつき始める。また、温めるのは反応の促進のためである。

また、カゼインはpH4.6以下になると固まり、凝乳(カード)と乳清(ホエー)に分離する。今回生成されているカッテージチーズは、ホエーを除いてカゼインを酸と熱で固めたものである。カゼインの熱凝固性と酸凝固性を生かしたものになっている。

 

塩析は親水コロイドに大量の電解質を加えることで固まる現象である。大量に加える理由としては、親水コロイドは水との親和性が強く、分離させることが大変であるからである。牛乳内にある親水コロイドに、レモンの酸(電解質)を多量に加えることでチーズが完成した。(塩析の利用)

 

他に似たものでは、豆腐も塩析を用いて作られている。一方、自然界での三角州の形成や浄水処理場での水の浄化は凝析の原理が用いられている。

『凝析』とは、疎水コロイドに少量の電解質を加えることで塩析より簡単に沈殿が出来ることであり、塩析と凝析では関係するコロイドと、加える電解質の量が違う。

 

ちなみに飛鳥時代には、チーズに『蘇』や『醍醐』と名前を付けられていたそうである。そのため醍醐味とはチーズの味、と言えるとか言えないとか。

 

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