DNAの抽出 精巣を用いて

今回は、精巣からDNAを抽出してみました。

 

動画


www.youtube.com

 

【準備物】

サケの精巣 0.5g (マスなどのサケ科のもの推奨)

乳棒、乳鉢、ビーカー(50mlと200mlの2つ)、メスシリンダー(50mlを2つ)

試験管、三角フラスコ、ガラス棒

 

【試薬】

塩化ナトリウム(NaCl) 5.8g

水 50ml

水6.0mlに中性洗剤1滴の割合で溶かした洗剤液

100%エチルアルコールエタノール) 50ml

 

【方法・手順】

1. NaClを5.8g秤量し、10mlメスシリンダーで洗剤液を6.0ml計り、試験管に入れる。

 

2. 50mlメスシリンダーで50mlのエタノールを計り、三角フラスコに入れる。

 

3. 50mlメスシリンダーで50mlの水を計り、50mlビーカーに入れる。

 

4. 精巣0.5gを乳鉢に入れて先に軽く粗くつぶした後、乳棒で静かにすりつぶす。そこに3.の水をほんの少し(2~5ml、10滴程度)を加えてさらに静かにかき混ぜ、均質な溶液になるまですりつぶす。

 

5. 4.の溶液を200mlビーカーに移す。乳鉢に残りの3.の水を2~3回に分けて入れ、乳鉢の壁面に組織片が残らないように洗う。その後その溶液も先ほどの200mlビーカーに入れる。

 

6. 1.のNaCl5.8gを先ほどの200mlビーカーに加え、NaClが完全に溶けるまでガラス棒でかき混ぜる。(4~5分目安)その後、1.で用意した試験管に入った洗剤液6.0mlを加えてさらに5分ほど撹拌する。

(※NaClを加えて混ぜる作業は、ヒストン(タンパク質)を外す作業。洗剤液を加えて混ぜるのは、DNAが巻き付くヒストンをばらばらにし、巻き付くのを防ぐため。)

 

7. 2.のエタノール50mlを一気に先ほどの溶液に加える。その後、ガラス棒でかき混ぜるが(動画中の作業を参考)、初めは緩やかにかき混ぜだんだん早くかき混ぜる。すると、かき混ぜているうちに溶液が透明になり、ガラス棒にDNAが絡みついてくる。

 

(下図:実験に使用した&観察できたもののスケッチ)

サケの精巣:縦0.5㎝、横1.0㎝、高さ0.8㎝ 

抽出したDNA:縦5.7㎝、横1.4㎝

f:id:VCPteam:20210511210422j:plain

よくブロッコリーを用いることが多いが、ブロッコリー細胞壁があるためDNAを取り出しにくい。また、レバーを用いることもあるが、核が小さいため適応度は低い。また、手に入れた精巣は冷凍しておけば保存が可能であるので、早めに良い精巣を手に入れた後、実験を行う時期まで冷凍保存をしておけば、実験をしたいときに精巣が手に入らないと困ることがない。

0.5gという微量な細胞からこんなにも大量のDNAが抽出できたということは、DNAが細胞内でとてつもなくコンパクトにしまわれている事実に気付くことが出来る。

 

監督官をしていただいている先生のブログ(らくらく理科教室)はこちら→らくらく理科教室 (sciyoji.site)

 

先生のYouTubeチャンネルはこちらから→らくらく科学実験 - YouTube

 

都留文科大学理科教育の一環