今回は身近ではあるものの危険の実感がない水素について取り扱ってみました。
動画
水素は爆発的に燃焼する条件が広く、取り扱いに注意が必要である。水素の割合が空気の内4~75%であれば爆発限界にあたる。今回の動画では、水素爆発を安全に行うための方法を紹介している。
水素は軽い気体のため、容器内上部のストローから外に出ていこうとする。
(※軽いので、気体注入の穴からは漏れない)
ここへ点火すると、水素の割合が高いので、燃えるのみに留まる様子が見られる。しかし、時間の経過とともに容器下から水素が減った分酸素が入り込み、容器内の空気と水素の割合が変化していき爆発限界に達してしまう。
しかし事故も起こっているために実験は非常に危険なため、行う際は細心の注意を払わなくてはいけない。事故例としては、ガラス容器内に空気が残る状態で、発生してきた気体(誘導菅の先)に点火して爆発したということである。
発生してきた気体は水素と空気の混合気体であることへの注意が必要である。
水素の気体分子の運動速度は1692m/sと非常に速い。(酸素:425m/s、アンモニア:583m/s、窒素:454m/s)
そのため、爆発的に散らばり、爆発が起きたようになる。
また、似たようなものをエタノールでも行える。
【※下記動画はVCPメンバーのものを引用させていただいています】
上を全てくりぬいた缶、その下に小さな点火用の穴を空け、点火直前までエタノールが漏れないようにガムテープの蓋を取り付ける。
エタノール(1ml)を缶内に壁面に満遍なく回しつけ、缶を手で温める。(エタノールの気化を促すため)
その後にガムテープをはがして着火をすると、気化したエタノールが膨張し、紙コップを上に弾き飛ばす。
最後に濡れぶきんをかけているのは、着火後缶がとても熱くなるため、それを冷やすためにかけている。また、エタノールの量が多いと火が残る場合があるので、確実に火が消えているか確認。
点火に失敗した際は、紙コップに空気を入れて再度挑戦。
エタノールの完全燃焼の化学反応
C₂H₅OH + 3O₂ → 2CO₂ + 3H₂O
1molのエタノールが3molの酸素と反応して、2molの二酸化炭素、3molの水が生成することになる。
燃焼範囲(蒸発燃焼)は、3.3~19.0%で、水素と比較するとやや扱いやすい。
エタノールをペットボトル内に入れて温めてから火を点けるとロケットのように飛ばすことが出来る。キャップにきりなどである程度の穴(小さすぎるのは危険だが大きすぎてもダメ)を空ける。ペットボトル側面にストローを取り付けて、路線となるひもをストロー内に通して両端を固定して装置を作る。同じボトルで何回もすぐに操作はできないので、数度演示する際は、キャップは使いまわしつつボトルのみを交換するとよい。(内部に生成される水等が影響してなのか、失敗シーンのようになる)また、ボトルは炭酸飲料のものを使用する方が安全である。(丈夫なもの)
多くの酸素に触れてやるようにすると火勢が強くなり、炎は青味がかってくる。燃焼効率が上がるので、温度も高くなるが、この効率良い燃焼が極端なかたちで起こるのが爆発という現象である。
爆発が起こる条件(空気との混合比:爆発範囲)は、物質によって違っている。今回は、エタノールと空気(酸素)がある一定の混合比の範囲内にある時に爆発的な反応が起こり、激しい燃焼が起こった勢いが推進力になっている。
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※都留文科大学理科教育の一環