今回は、スライムを作ってみました。
動画
凍らせて解凍してみた動画
・準備物
新聞紙、PVA系(ポリビニルアルコール)の洗濯のり 30ml、お湯(約40℃) 60ml【洗濯のりと同体積分だが、今回は水を使用】、色素(着色料でもよいが、今回はフルオレセインを用いた) 少量、割りばし 1膳、四ホウ酸ナトリウム水和物(ほう砂 Na₂B₄O₇・10H₂O この化学式で表されるものが一般的) 1g、プラカップ、紙コップ、保存用のビニール袋や蓋つきビン、UVライト(100均)、【ゴム手袋やビニール手袋があると手が汚れずに片付けやすい】
・操作
- 机上に新聞紙を広げる。
- PVA系(ポリビニルアルコール)と表示されている洗濯のり30mlを紙コップに入れて、30mlの水でやお湯で薄める。さらに色素を加えて、半分に割った割りばしでよくかき混ぜる。→A液
- 四ホウ酸ナトリウム1gをプラカップに取り、30mlの水を加えてもう一本の割りばしでかき混ぜ完全に溶かす。(溶け残りが見られるので、なるべく溶かす。)→B液
- A液へB液を少しずつ加え、割りばしでよくかき混ぜる。(動画内では入れる順を逆にしているバージョンあり)
- 取り出して触って観察する。
・留意点
- フェノールフタレイン溶液を滴下すると色が変化して面白いが、行う際は注意すること。
- PVAS系のものもあるが、化学のりはPVA系を用いること。
- ホウ酸ナトリウムは、飽和液に近い方が良い。しかし、結晶が残っているとぱさぱさになることがある。溶けきらない場合は、上澄み液のみを使用する。
- テーブルをかなり汚すので、あらかじめ新聞紙等を敷いておく。また、スライムを触る際はゴム手袋やビニール手袋をしてから触ると手が汚れずに片付けも簡単に済む。
- ビニール袋や蓋つきビンに保管するとよいが、長期間の保存は雑菌の繁殖等を考えると好ましくないので、短期間で処分を検討する方が良い。
- 流しが詰まるので、燃えるゴミで廃棄する。
洗濯のりの主成分であるPVAとは、ポリビニルアルコールの略。一般に市販されているものには10%程度含まれている。PVAは、エチレンに水分子が付加したビニルアルコール CH2=CH-OH が重合した [CH2-CH(OH)]n で表される巨大分子(ポリマー)。洗濯のり中では水によく溶け、比較的水の中を自由に動き回ることができる。しかし、そこに四ホウ酸ナトリウム由来のホウ酸イオン [B(OH)4]– (またはBO2–)が加わると、PVA分子内のヒドロキシ基 -OH と水素結合をするため、長い鎖のあちこちに架橋がかかった状態になる。動きを制限されたPVAの鎖がロックされた状態になり、その間に水分子が留め置かれてしまうため、水を含んだ粘性の高いゲルとなる。水素結合により分子鎖間にロックがかかり、水が繊維鎖管に閉じ込められたままゲル化するので濡れている感覚を覚える。ちなみに、ホウ酸はコンタクトの洗浄液にも含まれる。
濡れているようで濡れていない感覚だが、実は手でこねるうち体温により水分が少しずつ抜けて扱いやすくなる。ある程度は保管が効き、また水分を加えてやれば感触がもどるが、不衛生であるので再利用はあまり勧められない。
スライムという名称は、元の意味は英語の「泥状・粘液状」を示す「slime」からきており、様々なメディアを通してキャラクター化されてきたという経緯がある。玩具としてすでに1970年代には商品化され、科学教材としては、1980年代に海外から紹介されている。もともと、二次大戦時にゴムの産地を日本軍に占拠されたアメリカが人工的にゴムを作ろうとした過程で偶然に生まれた産物で、日本と少なからず関係があるようである。
最後にスライムを冷凍し解凍したものがあるが、水分が抜けて硬くなっている印象を受けた。また、水を加えてみたが、大して吸水されなかった。硬くて切れやすい。また、日光にあてて5時間ほど乾燥させてみたが、大して変化が無かったので、水は抜けにくいとみられる。
ホウ酸は消毒や、眼科消毒に用いられることもあるが、口に入れないように気を付けなければいけない。
サムネや動画後半で、違う色で2層に分かれているように見えるが、フルオレセインの濃度が違うだけである。ちなみにフルオレセインは、黄色の酸性染料であるが、水溶液中で吸収した光を強い黄緑色の蛍光(530~570㎚)に変えて発光する。また、ホウ酸ナトリウムはアルカリを示すので、フェノールフタレイン溶液を滴下すると、色の変化が見られるというわけである。ただ、フルオレセインが酸性染料であることからある程度中和されている可能性は考えられる。
・凍らせた時の様子
・日光で乾かした後の様子
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※都留文科大学理科教育の一環