ボタン電池の危険性

今回は、ボタン電池の誤飲事故について検証してみました。

 

動画

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・準備物

鶏ささみ肉1/2本、ボタン電池、まな板、包丁、ゴム手袋、プラスチックトレー

 

・操作手順

  1. ゴム手袋をシ、ささみ肉を半分に切り、中を切り開いてボタン電池を挟めるようにする。
  2. ボタン電池を挟み込み、様子を観察する。(※挟まずに上に乗せてもよい)

・留意点

  • 生肉を扱うため、ゴム手袋を使用する。また、必要箇所以外には触れないようにし、操作後は速やかにゴム手袋を廃棄する。
  • 使用した器具や手をしっかりと洗浄する。

 ボタン電池の誤飲による事故が起きている。何故肉が溶けてしまうのか。それは、電気分解に関係があると思われる。

 ボタン電池を肉に触れさせると、極同士が肉で接続され、電流が流れる、抵抗の小さな回路になる(ショートしている可能性もあり)。すると、肉に含まれる水分などが電気分解され、水酸化物を含むアルカリ性の液体が出来てしまいpHが高くなる。(水の電気分解時、陰極側で水が分解され、水素と水酸化物イオンができるが、それが溶液中にある状態の液)。アルカリはタンパク質を溶かす性質があるため、結果としてささみ肉は溶かされてしまったというわけである。

 特にボタン電池は、通常の電池と違い極同士が近い。マイナス極を下にして肉の上に置いたものでも肉が溶けているのは、プラス極が電池のへりまでと広いため、回路が完成してしまうことが原因である。また、電池の腐食のようなものが見られた。

 肉が溶けている際、見えた発泡は酸素や水素ガス、たんぱく質が溶けた際に出るガス等の可能性がある。アルカリの液体ができるために肉がとける「化学火傷」の他、電池が溶けて金属イオンなどが溶けだしている可能性もあるため、ボタン電池の保管の際には、子供の手の届かないところに保管し、電池同士が接触しないようにケースなどで分けて保管するとよい。

 

ボタン電池電気分解の模式図】

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反応式としては、

負極:2H₂O + 2e⁻ → H₂ + 2OH⁻ (還元反応)

陽極:4OH⁻ → 2H₂O + O₂ + 4e⁻ (酸化反応)

 

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