永遠に回るコマ作ってみた!

今回は永遠に回るコマを作ってみました。

 

目次

 

動画

youtu.be

 

準備物

ペットボトルキャップ、爪楊枝、ネオジム磁石(直径約6㎜)2個、小麦粘土、きり、カッターマット、グルーガン、大きめの紙カップ、はさみ、テープ(透明な方がいいのでセロハンや養生推奨)、リードスイッチ、鉄くぎ(小)、エナメル線(直径0.4㎜)、紙やすり、単3電池、電池ボックス、ワニ口クリップ、導線(手で被膜がとれるタイプ)、赤色LED、棒磁石

 

操作手順【土台作成】

  1. カップを図のように切り、コードを通す穴を作る。f:id:VCPteam:20220328145241j:image
  2. エナメル線を巻く前に10㎝程端をのこしてから、鉄くぎのとがったほうから見て反時計回りにエナメル線を200回巻いて電磁石を作る。f:id:VCPteam:20220328145256j:imageその後、エナメル線の両端を紙やすりで削り、被膜をとっておく。さらに導線を被膜をとった部分に取り付け、LEDを接続させやすくしておく。
  3. リードスイッチの足を、破損しないようにそっと曲げる。そしてその足に導線を巻き付けておく。f:id:VCPteam:20220328145307j:imagef:id:VCPteam:20220328145312j:image
  4. リードスイッチと電磁石を図のように中央寄りに、紙カップの裏にテープで張り付ける。f:id:VCPteam:20220328145324j:imagef:id:VCPteam:20220328145327p:image
  5. 導線と電磁石をつなげておき、電池ボックスとはワニ口クリップで接続させて回路を作る。また、赤色LEDをコイルに並列にかつ向きを通常とは逆にして接続しておく。(※電池はまだ入れないこと。乾電池の取り外しがスイッチの役割とする)

操作手順【コマ作成&完成まで】※かなり繊細な作業になるのでずれが無いよう注意してとりかかる

  1. カッターマット上で、ペットボトルキャップの中心にきりで穴を空ける。その後爪楊枝のとがっていない部分を下にして穴に通し、グルーガンで爪楊枝の周りを囲むように丁寧に軸を真っ直ぐに固定し少し冷ます。ペットボトルキャップは水平に、爪楊枝軸との角度は90度となるように。(※ペットボトルキャップの平らな面も下。ペットボトルキャップは爪楊枝のこの線まで押し下げる。)f:id:VCPteam:20220328145400j:image
  2. ネオジム磁石を、棒磁石を使って互いの表の極が反対(N極 軸 S極)になるように、ペットボトルキャップの半径の中心辺りに左右対称にバランスよくグルーガンでしっかりと押し付けて取り付ける(磁石が剥がれる事を防ぐため)。この際、グルーガンは少量でよい。【下図:完成図一覧と失敗例】f:id:VCPteam:20220328153245j:imagef:id:VCPteam:20220328145456j:image
    f:id:VCPteam:20220328145454j:image
    f:id:VCPteam:20220328145500p:image
  3. 小麦粘土をペットボトルキャップの壁面に張り付けるように取り付けて外側に重さを足していく。ある程度つけたら実際に回してみてコマの安定性を確認し、不安定であれば粘土で調整する。f:id:VCPteam:20220328154851p:image
  4. コマが完成したら、電池ボックスに電池を入れて回路を作動させ、紙カップ裏でコマを回して様子を観察する。

成功のポイント

①コマを回してみた時、「ジーッ」とリードスイッチが反応している音がする。

②LEDの点滅が段々と激しくかつ明るくなっている。

③コマが安定して回転する。また、安定して回転させられるコツを身に付ける。

 

留意点

  • パーツの配置や電池の消耗、接触不良などが動作不良の原因となる場合がある。パーツの配置はテープでの固定のため修正しやすいが、その際は必ず電池を抜いてから行うこと。
  • コードを多用するので、コードの接続やコード穴から通すとき等、接触してショートしないように注意する。
  • 粘土は、乾くと軽量化する。しかし、コマの安定性に影響はなく、寧ろコマを回しやすくなる。
  • 長時間回転させると電磁石が発熱してしまうため、長時間使用することは非推奨。
  • 電磁石に導線を取り付けなくとも、あらかじめ出しておくエナメル線の端の長さを伸ばせば対応可能。
  • コマはかなり精密に作らなければ、紙カップ上で永遠に回転しないため注意。
  • 爪楊枝の柄の部分が尖っていると回転が上手くいかない。やすりで削るとバランスが悪くなるので、あらかじめ柄の部分が丸いものを選別しておくとよい。【上図:丸いもの、下図:尖っていて回転が不安定なもの】f:id:VCPteam:20220328145527j:image
    f:id:VCPteam:20220328145531j:image
  • リードスイッチは、保管方法等により破損してしまうことがある(磁石の近くに置いておくと常に通電してしまう状態になる等)。そのため、交換が出来るように複数個用意しておくとよい。
  • LEDの取り付け方だが、下図のように取りつければ、LEDの点滅とコマの回転が観察しやすいと考える。f:id:VCPteam:20220328153351p:image

回転し続ける原理

 回転し続ける原理は、ハンドスピナーの時と同じである。ネオジム磁石がリードスイッチに近づくと回路がオンになり、電磁石が作動する。すると、電磁石の磁力にネオジム磁石が引かれるまたは反発し、回転が促進される。しかし、コマは回転しているためネオジム磁石はリードスイッチから離れてしまい回路は一時オフ状態になる。この繰り返しによってコマは回転を続けるのである。

 ポイントは、リードスイッチによる回路のオンオフが起きている点。仮に電磁石ではなく通常の磁石を用いれば、コマは回転をすぐさま止めてしまう。回路がオンオフと切り替わることで、コマが停止しない程度に磁力が干渉し、ブレーキとしての役割をしないようになっている。f:id:VCPteam:20220328153328j:imagef:id:VCPteam:20220328153332j:image

 

LEDが点滅する理由①

 リードスイッチの断続的なオンオフの切り替えによって点滅していることは理解できるが、接続回路を見ると、通常とは逆に接続しており、光るはずはないのである。では何故LEDは点滅しているのか。リードスイッチがオンの状態では、電流は電磁石の方のみへ流れる。しかしオフになると、電磁石側に流れていた電気があまり、その電気をコイルがばねのような役割をして押し返し、逆電流となってLEDに流れ込むと考えられる。

 

LEDが点滅する理由②【誘導起電力を用いた説明。こちらの方が正しいと思われる】

 もう一つの考えとしては、誘導起電力である。誘導起電力とは、電流の増減等により磁場が変化することで電磁誘導が起こることで、増減した磁場に対して作用するものである(右ねじの法則やレンツの法則)。今回はリードスイッチのオンオフで、回路内の電流が極端に変化する。その結果、逆電流がLEDに流れて点灯すると考えられる。特にコイルが関係していると思われる。具体的には、回路オン時に流れていた電流が、回路オフになることで0になる。すると、コイル内の磁場は小さくなる。磁場が変化したため電磁誘導が起こり、初めのオンの状態に戻そうとしてオン時と同じ向きに自己誘導起電力が発生し、電流が流れる。そしてその電流がLEDに流れて点灯する。しかし、回路がオフからオンに変わるときは、コイル内の電流は増加するとみなすことが出来る。すると、コイル内の磁場は大きくなり、再び電磁誘導が起こる。しかし、オフ時の状態を保とうとするので、誘導起電力が、流れる電流とは逆方向に発生し、電流の増加を妨害する向きに電流が流れる。

 つまりポイントとしては回路がONからOFFになるとき、コイル内の電流及び磁場は減少、ONの状態を維持しようと誘導起電力が発生、順向きに電流が流れて、減少する電流や磁場をON時へ戻そうとする、発生した誘導電流がLEDに流れて点灯する、と言える。また、これがリードスイッチのオンオフで繰り返されるため、LEDは点滅する。

考えとしては、こちらの方が正しいと言えると思われる。f:id:VCPteam:20220328163314j:imagef:id:VCPteam:20220328171457j:image

 

【余談】もしかすると、ハンドスピナーの時と同じで、コマの磁石の表の極を同じ(NN、SS)にしても回転はする?また、電流の流す向きやLEDの配置を変えると違った挙動をするのか?この教材はまだまだ研究の余地がある。実はリードスイッチも、ものによって反応領域が違うものがある…

 

ハンドスピナーの回転の記事はこちら

vcpteam.hatenablog.com

vcpteam.hatenablog.com

 

監督官をしていただいている先生のブログ(らくらく理科教室)はこちららくらく理科教室 (sciyoji.site)

 

先生のYouTubeチャンネルはこちらかららくらく科学実験 - YouTube

 

都留文科大学理科教育の一環

 

f:id:VCPteam:20220328154958p:image
f:id:VCPteam:20220328155003p:image
f:id:VCPteam:20220328155008j:imagef:id:VCPteam:20220328163353j:image
f:id:VCPteam:20220328163350j:imagef:id:VCPteam:20220328182612j:image