今回は、トマトが磁石に反応するかどうかを実験してみました。
動画
・準備物
ミニトマト(なるべく小さめで同じ大きさなもの) 2つ、ストロー(直径8㎜、長さ220㎜のもの使用) 1本、ネオジム磁石(直径13㎜。個数は多いほど良い) 11個、ペットボトル、水、針(余計な装飾が無いもの推奨)、テープ、きり
・操作手順
- ペットボトルに水を入れて、転倒しないようにする。その後、しっかりと蓋をする。
- ペットボトルの蓋の側面に針を、とがっている部分が上になるように垂直にセットし、テープで固定する。
- ストローの中央にきりで小さな穴を空ける。この際、穴を貫通させないこと。(※穴の大きさの目安は、針の直径よりほんの少し大きいこと。大きすぎると装置の安定性が低下する。)その後、穴に針を通すようにし、穴の大きさを確認する。
- ストローの両端を、穴から端までの長さの1/3程度まで切り込みを入れる。
- ストローの切り込みにトマトのへたを挟み込んで、トマトをストローに固定する。
- ストローの穴を針に通して、ストローがバランスよく水平になるかを確認する。バランスが悪い場合は、トマトをストローの切り込みに沿ってスライドさせ位置を調整してつり合いをはかる。(※溝が足りない場合はさらに追加で切って作る)
- ストローが水平になったら静止するまで待つ。その後、ネオジム磁石を重ねて1つにし、そのネオジム磁石をトマトに触れないように近づけて様子を観察する。
・留意点
- 針の紛失等には十分に気を付ける。また、ペットボトルが転倒して針が折れたり刺さったりする可能性もあるので注意。
- ネオジム磁石が強力な方が良い。しかし、手を磁石に挟んで怪我をする可能性があるので十分に注意すること。
- 水に反応しているので、装置を作り変えることになるかもしれないが、たれビンに水を入れて吊り下げて…といったものも作れるかもしれない。ただ、自由に回転する機構の開発が難しい。ハンガー等にトマトを吊り下げて行う案もあるが、紐のねじれによる回転もある為に採用すべきか悩んでしまう。
原理
トマトにネオジム磁石を近づけると、トマトは逃げるように動く。逆から近づけようと、磁石の極を変えようともトマトは逃げるような動きを見せるが何故なのか。
磁石に反応しているのは、トマトに含まれる水である。水は磁石に対して反発する反磁性体である。反磁性体は、磁石などが作る磁界とは逆向きの極性をもつ磁石になるもので、その性質のためにトマトはどのように磁石を近づけても反発して逃げていく動きを見せたのである。
水などの反磁性体の磁力は極めて弱いため、強力な磁石(今回はネオジム磁石を複数個重ねたもの)で強い磁界を作り、反磁性体の磁力を高めることによって動きを観察した。
余談だが…
水は反磁性体なため、仮に超強力な磁石を水中に入れたら水は反発して道ができるだろう。この現象は『モーゼ効果』と呼ばれている。名前の由来は、海を割ったとされるモーゼから。
反磁性体には、水の他にも金や銅、炭素がある。鉛筆やシャープペンシルの芯も反磁性体なので、容器に水を張り、シャープペンシルを浮かせた後にネオジム磁石を近づけると磁石に反応する動きが観察できる。
また、アルミニウムは磁石に反応しないように思えるが、実は磁石に反応する(常磁性体)。
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