【概要】
高分子の学習の一環として、体感できる教材を作成した。
動画
・準備物
おむつ、水、ビーカー、着色料、シャーレ、薬さじ、塩化カルシウム(CaCl₂)水溶液、新聞紙やフェルト等の敷物、にんじんのへた【発展】
・操作手順
- おむつの吸水部分を開き、綿と粒をシャーレに取り出す。
- ビーカーに水を入れ、着色料を少量入れて色を付ける。
- 粒をビーカー内に入れて薬さじで軽くかき混ぜる。
- 十分に水を吸ったら、ビーカーを倒してみる。
- 吸水しているポリマーに塩化カルシウムを入れて再び薬さじでかき混ぜ様子を観察する。
- 【発展】吸水したポリマーをシャーレに取り、そこににんじんのへたを置いて水耕栽培に挑戦してみる。
・留意点
- ポリマーを取り出す際は、ちいさな粒が飛び散るため注意する。
原理
以下引用記事。引用先→吸水ポリマーで野菜を育てる | らくらく理科教室 (sciyoji.site)
紙おむつを破き、中身の吸水性ポリマーの小片を取り出してみました。ポリマーが飛び散らないよう、新聞紙等を敷いておくといいでしょう。ビーカーに移して水を加えるとたちまち膨潤し、ビーカーを倒しても水は流れ出てきません。約1 g でゆうに100 mLは吸水できるようです。しかし、そこにある種の金属イオンを含む電解質を加えると、蓄えられていた水が開放されてきます。なお、動画では、ニンジン上端の切れ端を用いて水耕栽培のようにしています。
「解 説」
高分子電解質による膨潤:吸水性ポリマー(SAP:Super Absorbent Polymer))は高分子化合物で、分子内にカルボキシル基がイオンになったもの -COO– とナトリウムイオン Na+ を含んでいます。両イオンともに水との親和性が高く、水溶液中でナトリウムイオンが離れると、ポリマーにつながっている-COO–が互いに反発し合うようになります。分子間にスペースが生まれ、そこに水が入り込んで全体が膨潤するのです。鎖の部分は架橋されているので、分子は溶解せず、全体として高分子ゲル状態が生まれます。市販されている紙おむつには、ポリアクリル酸ナトリウムが使われていますが、元の体積の数百倍~にまで水を吸い込むことができるとされています。なお、膨潤したポリマーに強酸や金属イオンを加えると水がしみ出てきてしまいます。これは、酸が加わることでカルボキシル基-COOHに戻り、ナトリウムイオンを含む水が出てきたことによります。この場合、酸の水素イオンとナトリウムイオンが交代する、イオン交換が起こることになります。この種のポリマーの性質は、イオン交換樹脂として、水の精製(不要なイオン種を除く)に利用されています。高分子吸水ポリマーは、衛生用品の他、吸湿性建材、土壌保水剤、保冷剤など、様々なものに用いられています。特に、砂漠の緑化計画のような地球的規模のプロジェクトでは、大きな効果が期待されるようになっています。
なお、実験で捨てられる運命にあるちっぽけな根菜の切れ端を使って、芽を出させるというトライをしています。しかし、電解質濃度の関係かあまり大きな成長は期待できないので、適当な時期にポットに移して育てることをお勧めいたします。
監督官をしていただいている先生のブログ(らくらく理科教室)はこちら→らくらく理科教室 (sciyoji.site)
先生のYouTubeチャンネルはこちらから→らくらく科学実験 - YouTube
※都留文科大学理科教育の一環