高吸水性ポリマーの性質

【概要】

高分子の学習の一環として、体感できる教材を作成した。

 

動画

youtu.be

 

・準備物

おむつ、水、ビーカー、着色料、シャーレ、薬さじ、塩化カルシウム(CaCl₂)水溶液、新聞紙やフェルト等の敷物、にんじんのへた【発展】

 

・操作手順

  1. おむつの吸水部分を開き、綿と粒をシャーレに取り出す。
  2. ビーカーに水を入れ、着色料を少量入れて色を付ける。
  3. 粒をビーカー内に入れて薬さじで軽くかき混ぜる。
  4. 十分に水を吸ったら、ビーカーを倒してみる。
  5. 吸水しているポリマーに塩化カルシウムを入れて再び薬さじでかき混ぜ様子を観察する。
  6. 【発展】吸水したポリマーをシャーレに取り、そこににんじんのへたを置いて水耕栽培に挑戦してみる。

 

・留意点

  • ポリマーを取り出す際は、ちいさな粒が飛び散るため注意する。

 

原理

以下引用記事。引用先→吸水ポリマーで野菜を育てる | らくらく理科教室 (sciyoji.site)

紙おむつを破き、中身の吸水性ポリマーの小片を取り出してみました。ポリマーが飛び散らないよう、新聞紙等を敷いておくといいでしょう。ビーカーに移して水を加えるとたちまち膨潤し、ビーカーを倒しても水は流れ出てきません。約1  g でゆうに100  mLは吸水できるようです。しかし、そこにある種の金属イオンを含む電解質を加えると、蓄えられていた水が開放されてきます。なお、動画では、ニンジン上端の切れ端を用いて水耕栽培のようにしています。

「解 説」

高分子電解質による膨潤:吸水性ポリマー(SAP:Super Absorbent  Polymer))は高分子化合物で、分子内にカルボキシル基がイオンになったもの -COO とナトリウムイオン Naを含んでいます。両イオンともに水との親和性が高く、水溶液中でナトリウムイオンが離れると、ポリマーにつながっている-COOが互いに反発し合うようになります。分子間にスペースが生まれ、そこに水が入り込んで全体が膨潤するのです。鎖の部分は架橋されているので、分子は溶解せず、全体として高分子ゲル状態が生まれます。市販されている紙おむつには、ポリアクリル酸ナトリウムが使われていますが、元の体積の数百倍~にまで水を吸い込むことができるとされています。なお、膨潤したポリマーに強酸や金属イオンを加えると水がしみ出てきてしまいます。これは、酸が加わることでカルボキシル基-COOHに戻り、ナトリウムイオンを含む水が出てきたことによります。この場合、酸の水素イオンとナトリウムイオンが交代する、イオン交換が起こることになります。この種のポリマーの性質は、イオン交換樹脂として、水の精製(不要なイオン種を除く)に利用されています。高分子吸水ポリマーは、衛生用品の他、吸湿性建材、土壌保水剤、保冷剤など、様々なものに用いられています。特に、砂漠の緑化計画のような地球的規模のプロジェクトでは、大きな効果が期待されるようになっています。

なお、実験で捨てられる運命にあるちっぽけな根菜の切れ端を使って、芽を出させるというトライをしています。しかし、電解質濃度の関係かあまり大きな成長は期待できないので、適当な時期にポットに移して育てることをお勧めいたします。

監督官をしていただいている先生のブログ(らくらく理科教室)はこちららくらく理科教室 (sciyoji.site)

 

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都留文科大学理科教育の一環

 

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