ブタンガスの蒸発熱

【概要】

ブタンガスの熱の吸収及び気化について学習する。

 

動画(※動画は都留文科大学化学実験Ⅰの一部)

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・準備物

ブタンガスボンベ(赤色のガスライター用ボンベ)、付属アタッチメント、沸騰石 2個、点火用ライター、試験管、ストロー、試験管立て、保護めがね

 

・操作手順

  1. ガスボンベに付属アタッチメント(口が細いものを使用する。また、ストローの口径にぴったり合うものが良い。)をつけ、さらに6~10㎝程度にカットしたストローをアタッチメントに取りつける。
  2. アタッチメント等を取り付けたガスボンベから、ブタンガスを試験管に注入する。(入れる際は冷たいので注意。量は2㎝程度で十分)
  3. 沸騰石を入れ、様子を観察する。また、素手で試験管を温めるとどうなるか試してみる。(試験管側部を触ると冷たいので注意)
  4. 点火用ライターを用いて試験管上部に点火する。(※この際、手で温めながらは危険なので、試験管立てに置いてから点火するとよい)
  5. 火のついている試験管を温めたり、試験管を揺らしてみて、炎にどのような変化が見られるか観察する。

 

・留意点

  • 気化しやすいので、点火の際には十分に注意を払い、試験管立てに立てた状態で点火するとよい。また、燃えやすいものを近くに置かず、保護メガネを必ず着用すること。
  • ガスはとても冷たいので、軍手などをして作業をすると良い。
  • アタッチメントだけでもガスをとることは可能だが、手に付着する可能性があるのでストローで口を伸ばすとよい。しかし、ストローが長すぎるとガスが気化してしまい採取できなくなるので注意。
  • 点火後、試験管を持つ際は周囲の安全を確認したうえで注意して操作を行うこと。
  • 手で温めると気化が一気に進むので注意。

 

原理

①吸熱と燃焼

ブタンガスは気化しやすく燃えやすい炭化水素。液体から気体への状態変化に伴う吸熱反応である。そのため、試験官の壁面に触れると冷たく感じる。ブタン(沸点約-0.5℃)は、液体⇄気体の変化を観察するうえで比較的取り扱いが容易な炭化水素でもある。ライターの燃料として用いられる可燃性の物質としてもよく知られている。

 また、試験管の口の部分や炎の上部が黒っぽくなる様子が見られるが、これはおそらく不完全燃焼によるすすと思われる。ブタンは炭素を4つ持っているため不完全燃焼が起こりやすくなるためと考えられる。(炭素が多いほど沸点が上昇し気化のためにエネルギーが必要になる。結果完全燃焼に必要なエネルギーから気化する分のエネルギーを差し引いているので不完全燃焼になる?)

 反応式としては...

 

C₄H₁₀(液)= C₄H₁₀(気)-22.4 kJ

 

といった吸熱反応となる。

 沸騰石から泡が出るが、沸騰石は多孔質であるので、刺激を与えることで突沸を防いでいる。(エネルギーを小出しにして分散させているともいえる。)

 

②炎の安定や内部で燃焼が起こらない理由

 試験管内部に炎がいかないことに加え、炎が安定するのはなぜかについて考える。燃焼には酸素(O₂)が必要。しかし、試験管内部はブタンガスが気化して充満し、更に気化し続けているので酸素が入り込めない(ガスの気化で酸素や空気が追い出されるイメージ?)。また、上部で燃焼に使われていることから、試験管内部には燃焼に必要な酸素濃度に達することが出来ずに、試験管内部では燃えないと考えられる。

 次に炎の安定性について考える。燃焼が起こっているので熱が発生し、上昇気流が発生している。この上昇気流に炎が包まれている形になっているため、炎は上昇気流に乗った縦型の形から姿勢を崩しにくいと思われる。(試験管を揺らしても、上昇気流の乱れる方向に炎が動いているように見える。)

 

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