【概要】
寒天で型どりをし、キャンドルを作る。
動画
忙しい人向け1分解説(作成者:VCPあまんだ(VCPあまんだ - YouTube))
準備物
ロウソク(10号) 2本(約73.9g)、クレヨン(黄、炭化水素:パラフィン系) 1/3本、300mlビーカー 2つ、割りばし 2膳、寒天粉末(約2.25g)、水、紙コップ 2つ、トウモロコシ 1/2本、つまようじ 4本、タコ糸、コンロ、トレー
操作手順
- 1.5%寒天溶液150gを作成。85℃で透明にしてから、60℃近くまで放冷。撹拌には割りばし1/2膳使用。(※冷やし過ぎて固まらないように注意)
- トウモロコシにつまようじを4本、十字になるように刺す。紙コップにセットして落ちないか、トウモロコシが紙コップの底につかないようにある程度空間が残る位置につまようじが刺せているかを確認し、できていない場合は調整する。
- 軍手を着用し、寒天が固まる前にトウモロコシをセットした紙コップに寒天を注ぎ込む。その後、静置して放冷する。(※火傷に注意。溢れないように。急ぐ場合は紙コップを氷水で冷やす。)
- ロウソクを加熱しやすいように折り、クレヨンと共に加熱する。撹拌には残っている割りばし1/2本を用いる。(※水などが入るとろうが跳ねる可能性があるのでゆっくりと加熱すること。また、ロウソクの芯は不要なので、初めか途中で取り除いても良い。それを作るキャンドルの芯として再利用するとエコ。大量に使用する場合はなべとおたまを用いるとよい。)
- 固まった寒天ごとトウモロコシを取り出す。その後、別の紙コップに寒天を移し替える。(※寒天がさけても、紙コップに寒天を入れれば割れ目はふさがるので気にしなくても大丈夫。ろうは漏れない。)
- 割りばし1膳にタコ糸を挟む。それを、寒天型の中央に来るようにセットする。(※ろう内部に入るタコ糸は、型の底につくかどうかにしておく。長いと下から見えて不格好になる。タコ糸は長い場合は切ればよいので気にしない。)
- タコ糸をセット出来たら、軍手をして、溶かしたろうをゆっくりと注ぎ入れて固まるのを待つ。(※溶かしたロウソクの芯まで流し込まないように注意。)
留意点
- 粗熱を効率よく除き、冷水に浸けるなどの工夫を行うと時短が図れる。授業で行う場合は特に、冷ますための準備をしておくとよい。
- 寒天で型を取るときにあまりに寒天層が薄いと壊れやすくなるが、紙コップにそのまま入れた状態で用いれば形を保つことができる。
- ロウを溶かす際は、時間をかけてゆっくりと加熱すること。突沸が起こりやすく、水が少しでも入ると跳ねる可能性があるので、過熱させないよう注意。
解説
①寒天とは
テングサ(天草)やオゴノリなどの紅藻類の成分を一旦凍結してから乾燥したもの。凍結させて乾物にするとういう製法だが、たまたま屋外に捨てたトコロテンが屋外で凍結と溶解を繰り返して乾物となったものを、再度トコロテンの材料としたら臭みが抜けているものができたということがきっかけになったそう。寒天の呼び名の由来も、寒空に干すという製法に由来するようだ。テングサを原料とする寒天の場合は、漂白したのち煮沸して成分を抽出する。成分のほとんどはアガロースやアガロペクチンなどの多糖類からなる食物繊維で、ヒトの消化酵素ではほとんど分解されないためダイエタリーフードとして好まれている。寒天の主な化学成分はアガロース(agarose:寒天は英語でagar)という糖が長く直線状につながっている物質である。セルロースに似ていて、分解されにくいことから食物繊維に分類されるが、アガロースは2種類の糖(ガラクトースとアンヒドロガラクトース)が交互につながっている。このアガロースは、水素結合により水分子と結合しやすく、鎖状の分子の間に多量の水分子を吸収して網状の層を形成する。
また、寒天溶液が透明になる前と後ではレーザー光線の軌跡の見え方が違った。これは、チンダル現象というものである。チンダル現象についてはこちら→チンダル現象 - VCPteam’s blog (hatenablog.com)
②工夫が広がる教材
ろうそく作成時には、匂いをつけたり別の色にしたり、別の野菜等を使う工夫もある。また、ろうを使用するのではなく、廃油などを使用すれば、SDG’sに関連したエコ教材に繋がるかもしれない。
監督官をしていただいている先生のブログ(らくらく理科教室)はこちら→らくらく理科教室 (sciyoji.site)
先生のYouTubeチャンネルはこちらから→らくらく科学実験 - YouTube
※都留文科大学理科教育の一環