ブロッコリーからDNA抽出

今回は、ブロッコリーからDNAを抽出してみました。

 

動画 (※動画は都留文科大学理科教育法の模擬授業の一部)

youtu.be

 

動物性のDNA抽出はこちら

vcpteam.hatenablog.com

 

・準備物

塩化ナトリウム 4g、水 80ml、中性洗剤 少量、無水エタノール 5ml、ブロッコリー、乳棒、乳鉢、茶こし、100mlビーカー、500mlビーカー、試験管、ガラス棒

 

・操作手順

  1. 塩化ナトリウムと水80mlを100mlビーカーに入れてかき混ぜる。さらに中性洗剤を少量入れる。→DNA抽出液の作成
  2. ブロッコリーの花芽をはさみで切り、乳鉢に落とす。さらに乳棒で粒が見えなくなる程度にすりつぶす。(※細胞壁があるのでよくすりつぶす方が良いが、すりつぶし過ぎてDNAを破損させないように注意)
  3. すりつぶしたブロッコリーの花芽が入っている乳棒に抽出液を加えて静かにかき混ぜ、その後数分置く。
  4. 数分経過後、500mlビーカーを受け皿にして、DNA入り抽出液を茶こしでこす。
  5. 試験管にこしたDNA入り抽出液を入れる。さらにその上から無水エタノール5mlを試験管の壁に伝わせて静かに注ぎ入れる。(※液体同士が混ざらないように注意。層をつくること意識。)
  6. 数分後、無水エタノール層にDNAが析出してくるので観察する。

DNAとはデオキシリボ核酸deoxyribo nucleic acid)の略で、DNAは生物の細胞の核の中にある分子である。その分子は非常に細い(約2nm)が、長さは数㎝にもなる巨大な分子鎖を構成しているものである。DNAは人間を含め、全ての動植物を構成している細胞に含まれる細胞核の中にある。細胞が数多く集まっている素材が、それだけDNAが濃縮した状態で得られやすいので、ブロッコリーのように花芽が集中している野菜は好都合と言える。また、若い細胞が花芽にあるのもポイントである。花芽部分は細胞分裂が活発であり、まだ細胞が小さくDNAが取り出しやすいことが好都合なポイントである。

 

抽出液に洗剤を用いる理由としては、細胞膜を構成する脂質を溶かして、細胞の中身が出てきやすいようにするためである。また、DNA分子鎖どうしは同じ電化で反発し合って水溶液中で安定して存在している。そこに、塩化ナトリウム(食塩)のような電解質を加えると、電荷が中和され分子鎖が不安定になって凝縮沈殿しやすくなる。さらに、ろ過によって得られた成分の中のDNAが、エタノールに不溶である性質を利用している。ろ過した液体に無水エタノールを加えると、無水エタノール中に糸状になって表れてくる。しかも、DNAは軽いので上方に移動してくるので、繊維状の白いふかふかしたものとして分離してくる。分離してきたDNAの集まりは、電荷等から絡めとりやすいガラス素材の、ガラス棒などで巻き取り、ビン等で保管することも可能である。

 

2層になる理由は、エタノールが水よりも軽いことによる。油と水を想像するとよいだろう。

 

DNAが水には溶け、エタノールには不溶な点が重要で、軽いDNAが浮き上がりエタノール層に触れると、溶けずに析出してくる。さらにエタノール液は透明なのでDNAが観察できる。析出は、物質が溶媒の温度変化によって析出してくるイメージ?

 

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都留文科大学理科教育の一環

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