今回は磁石がゆっくり落ちることについて実験してみました。
動画
・準備物
強力ネオジム磁石 4個(2個セット×2)、アクリルパイプ 2つ、アルミパイプ、スタンド、アルミホイル 2〜3箱、テープ、フェルト
・操作手順
- フェルトを始めに敷き、その上にスタンドを乗せる。次に、スタンドを用いてアルミパイプとアクリルパイプを立てる。その後、ネオジム磁石をパイプ内に同時に落として違いを観察する。
- アクリルパイプの3カ所に、アルミホイルを巻きつける。巻き付ける際は取り出したアルミホイルを半分に折った後、巻き付ける部分にアルミホイルをテープで固定してから巻く。最後にしっかりと巻き付けた後にテープで固定する。
- アルミホイル付きアクリルパイプと通常のアクリルパイプをスタンドで固定し、ネオジム磁石を落として様子を観察する。
- 【応用】アルミパイプとアルミホイル付きアクリルパイプをスタンドで固定して磁石の落下速度に差があるか試してみる。
・留意点
- 磁石を落下させるので、床や机が傷つく場合がある。そのため、下には必ず保護できる布などを敷いておくこと。
- パイプ下部と机との距離を縮めておくと、磁石がどこかに飛んでいくことが少なくなる。
- 使用している磁石はとても強力なので、手を挟む等によってケガを負う可能性があるので注意する。
原理
アルミニウム自体は磁性を持たないが、まるで磁性を帯びたように磁石を引き付けて落下を遅らせているようにみえる。磁石は落下して移動するため、変化する磁界の中でアルミニウムの自由電子も動く(電気が流れる)ことになる。変化に逆らうように電磁力が働くので、この演示実験では、磁石が落下する方向と逆の力が作用し、アルミパイプに引っかかるように落ちる様子が観察できる。
更に詳しく言うと、レンツの法則(磁石が近づくと反発、遠ざかると引き寄せる磁力の発生。電磁誘導も絡んでいると思われる。)が関係している。アルミパイプをコイルとすると、磁石を近づけることで誘導電流がアルミパイプに発生する(右ねじの法則)。その際新たな磁力が発生するが、この磁力は磁石と反発するようになる。そのため、落下を妨げる向きの磁力によって落下速度は低下する。
今回は工夫点として、アルミホイルを巻きつけた。これは、アルミパイプでは落下の様子が観察しづらいので、内部が見えるかつ落下速度の変化がアルミホイルの部分で起きていると観察できるようにするための工夫である。
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※都留文科大学理科教育の一環