雲を作る実験をしてみよう！
今回は、雲を作ってみました。
動画
・準備物
ペットボトル（炭酸飲料用のもの。今回はアイシースパークのものを使用。）、消毒用エタノール（水でも可）、炭酸キーパー
【※記事下部に使用したものの商品写真有】
・操作手順
- ペットボトル内に消毒用エタノールを少量（1～2ml）入れ、炭酸キーパーでしっかり蓋を閉める。
- 炭酸キーパーのポンプを押して、ペットボトル内の圧力を上げる。（※加圧を無理にし続けると爆発等の事故が起きる可能性があるので注意。）
- ポンプが押せなくなるまで加圧出来たら加圧を止め、炭酸キーパーのワンタッチ機能で蓋を開けて様子を観察する。
・留意点
- 急激な圧力の変化により、内部の液体や気体が飛び出てくる可能性がある。蓋を開ける際はしっかりとボトルを握って支え、蓋をのぞき込まないようにする。保護メガネも忘れずに。
- 今回はエタノールを使用しているので、引火には十分に注意する。
- ペットボトルは加圧に耐えうる炭酸飲料の強度があるボトルを使用すること。
- 水でも可能だが、揮発しやすい(断熱圧縮により多くの蒸気を空気中に取り込める)エタノールのほうがより濃い雲を形成できたので、エタノールの利用を推奨する。
原理
空気中に含まれる水蒸気が上空へと上昇すると、気圧が低下するので空気は膨張し温度が低下、水蒸気は水滴や氷の粒となる。その水滴や氷の粒が空気中のちりの周りに集まり、その集まりがさらに集まって雲を形成している。
今回はどのようにして雲を生成したのか。炭酸キーパーで加圧すると、ペットボトル内部の温度・気圧が上昇する（断熱圧縮）。すると、温度上昇に伴いエタノールが蒸発し、空気中に散る。この状態で蓋を外すと、一気に気圧が下がるのでペットボトル内部の空気が膨張し温度が下がる（断熱膨張）。温度が下がることで水滴や氷の粒がボトル内の空気に含まれるちりに集まり、結果雲のようになる。また、空気が含むことのできる水蒸気（今回はエタノール蒸気）の量は、温度が高いほど多く、温度が低いほど少なくなる。そのため、温度低下により空気中に含み切れなくなったエタノール蒸気が水滴となって露出し、雲を形成した。（エタノール雲）また、再び加圧するとペットボトル内部が晴れたが、加圧によって温度が上昇したことでエタノール蒸気が空気中に多く含むことが可能になったため、水滴として見えている分が見えない蒸気になっていくことでボトル内部が晴れていくと思われる。
もし空気中にちりが無ければ水滴などが出来にくい。そのため水滴等になるためのちり（核）が必要となるが、自然界では火山の噴出物や塩の粒等のエアロゾルがちり（核）の役割を果たしている。
ちなみに水滴や氷の粒が雲ならなぜ落ちてこないのかというと、この粒は0.02～0.2㎜ととても小さい上に、上昇気流があるので落ちることがない。落下してきてはいるが、それを押し戻す上昇気流の方が勝っているために雲は落下してこない。しかし、上昇気流の力を超える大きさの氷の粒になると落下していき、雨や雪として降水する。
また、ペットボトル内の温度を測るために、液晶温度計を内部に入れておくと、温度変化が分かりやすい。
以下、雲が出来る際に関係する断熱関係のメモ。
断熱圧縮：外部から熱の出入りがない状態で気体を圧縮すること。断熱変化の一つであり、気体は外部から仕事をされ温度が上昇する。
断熱膨張：外部からの熱の出入りがない状態で気体が膨張すること。この時、気体は外部に仕事をして温度は下がる。
【使用した炭酸飲料写真】
【使用した炭酸キーパー写真】
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※都留文科大学理科教育の一環
