ペットボトルでトルネード ~簡単バージョン~

今回は、ペットボトルでトルネードを観察してみました。

 

動画

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一般的なトルネード装置の作り方

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・準備物

ペットボトル(500ml、ボトルの底が平らなもの。今回は綾鷹【らせん溝付き】と生茶のボトルを使用した)、洗剤(今回使用したのはJOY台所用弱アルカリ性のもの)、ライト、着色料、水

 

・操作手順

  1. ペットボトルに水を350ml入れ、好きな色の着色料を加えて溶液に色を付ける。その後、洗剤を15~16滴加える。
  2. 蓋をしっかりと閉めてペットボトルを振り、容器内に泡を満たす。
  3. 細かな泡が消えて溶液が透き通るまで、数分待つ。
  4. 溶液が透明になったら、ボトル内部を回転させるように振った後、振るのを一度止めてから内部の様子を確認する。

・留意点

  • 着色料で溶液をあまりにも濃く着色してしまうと、内部の観察がしにくくなってしまう。そのため、不安な場合は洗剤を加える前に、着色料を少しずつ加えて溶液の色味を確認するとよい。
  • ボトル内をしっかりと泡で満たすには力強く振るとよい。また、泡が落ち着いて観察が出来るようになるには時間がかかることを意識しておくこと。
  • 炭酸飲料が入っているようなボトルではできなかった(蓋を下にして使用するとできるかも)。また、壁面に溝等があると観察に支障が出る(特に下からライトで照らすと、光が散乱して綺麗に光らない)ので、溝がないものが一番。然し溝の無いものは耐久性が低い為、ライトを用いた観察をしない場合は溝ありの方が扱いやすい。
  • 色が薄いと、ライトで下から照らして観察した際、渦が観察しにくい。赤等で濃く色づけておくとよい。
  • 【重要】作って数日で、トルネードを作ることが出来なくなる。長持ちはしない。洗剤を再び足せば出来るのかは未確認。中身を廃棄して新たに作る方が良い。

 

・トルネード装置

 トルネードは、①上昇気流(発達した積乱雲による上昇気流)、②回転する力が加わる(周りの空気がゆっくり回転している)、といった2つの要因によって生成される。その性質をペットボトルを用いて再現したものがトルネード装置である。(内部が水である理由は、流体内で一度生じた渦は、エネルギーを失いにくく消えにくい性質を利用するためと、観察・操作が容易であるからである。)

 

・一般的なトルネード装置の原理

 一般的なトルネード観察装置は、2本のボトルを連結させてつくられていることが多い。水の入ったボトルAを上にした後回転運動を与えると、初めは見えないが、途中から大きな渦、トルネードが観察できる。では、この装置ではどこが上記のトルネード発生条件に関係しているのか。

 ①の条件に当てはまるのは、水の落下に伴う空気の流入である。正しくは、「水と空気が入れ替わる」と言える。溶液に回転運動を与えると、遠心力によって水はボトル壁面側に広がる。そしてその分、中央に穴が開き、下のボトルBから空気が入りやすくなる。これが上昇気流の条件を満たす要因となっている。そして、それと同時に水は重力により落下していき、空気と水が入れ違う形で、ボトルA内を満たすものが入れ替わる。②の条件は、ボトルを揺らす操作が当てはまる。f:id:VCPteam:20220324153231j:image

 ちなみに、ボトル内の溶液が一気に落ちない理由としては、水の表面張力と圧力が関係している。特に、水が下方に移動していくとボトルA内の内圧が低下するので、水が流れ落ちる動きを抑え込む働きをする。

 

・今回のトルネード装置

 では、今回のトルネード装置の原理はどうなのか。②の条件は同じであるが、①の条件が似ているようで少し違うと思われる。

 容器を振って回転運動を与える際、容器上部の、空気を内部に取り込んだいわゆる「泡」が溶液内に押し入れられる。f:id:VCPteam:20220324153243j:imageしかし、空気は水よりも軽いため浮いてくる。これが①の条件を満たしていると思われる。f:id:VCPteam:20220324153301j:imageつまり、「溶液を振った際に生じた・押し入れられた泡が溶液への回転を加える操作を止めた際に上昇してくることが、上昇気流の役割を担っている」と言える。そのため、溶液を振った際、初めは泡でトルネードが観察しにくい。この初めの泡が上昇してくることが、今回のトルネード生成の要因であると考えられる。

 

・トルネードの観察の泡が集まる理由

 トルネードを洗剤なしの水のみで行うと、回転がとても見づらい上にすぐにトルネードは消えてしまう(上昇気流の役割をするものがないため)。そこで観察しやすくするために洗剤を加えているが、何故中央にV字に泡が集まるのか。それは圧力が関係している。回転運動がかかるとボトル壁面(外側)の圧力は高くなる。一方トルネード中心部は反対に圧力が低くなるので、外側が高圧、内部が低圧となる。そのため、圧力が低い中心に泡が集まるというわけである。また、ボトル上部にある泡が、できたトルネードの回転に巻き込まれ、トルネードに泡が取り込まれるといったことも同時に起きているのかもしれない。f:id:VCPteam:20220324153311j:image

 

 このトルネードは気象現象として有名であり、家や車を吹き飛ばすほどの大きな被害を出すものでもある。他に似たようなものとして、渦潮といった潮の満ち引きで生まれる渦もある。

 

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都留文科大学理科教育の一環

 

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