今回は、コーラを透明にしてみました。
動画
・準備物
コーラ(今回は約250~300ml)、牛乳(約15ml)、白い紙やトレー(観察がしやすい)、ろうと(必要なら)
・操作手順
- コーラに牛乳を静かに加える。
- 蓋をした後、全体が混ざるように軽く振る。
- 静置して様子を観察する。
・留意点
- 牛乳の量は少ない方が良い。また、軽く振る作業がないとなかなか反応が進まない。コーラ:牛乳=8~9:1のイメージ。
- 綺麗な透明溶液にするにはある程度時間が必要。短縮するために酸を加えたり、1日程度冷蔵庫などで静置するとよい。
・原理
コーラに少量の牛乳を加えるといった操作を行った。牛乳は多種多用な成分を含む混合水溶液だが、ここで取り扱う成分は、タンパク質の一種であるカゼインだ。カゼインは、牛乳の脂肪を取り込み、ミセルコロイドとして安定して分散している。親水性のカゼインは、疎水性の脂肪を取り囲む形になるので、保護コロイドの役割を果たしているという見方もできる。また、コーラには、酸味料としてクエン酸のような有機酸や色素としてカラメルが添加されている。
ミセルコロイド粒子となっているカゼインだが、熱や酸によってその安定が失われ、ゲル化することが透き通る要因となっている。特に牛乳は、少量の酸(酢やレモン汁)で容易に成分を分離させることができ、沈降してきた固形物を濾して簡単なチーズを得る方法として紹介されることもある。コーラに含まれる酸味料(成分表示としてクエン酸とある)によって牛乳のカゼインが反応して、分離沈降してくる。そして、コーラの色(カラメル色素)も同時に抜けて透明になる。これはおそらく、ゲル化するカゼイン粒子の表面に吸着されるのではないかと思われる。ミセルコロイドが凝集すると、間隙をもつ吸着剤(キセロゲル)となることがある。カラメル色素は水溶性で、完全には透明にはならないが、ゲル化による粒子の表面積は大幅に拡大するので、色素の多くがその吸着剤の表面に吸着されるのだろう。
牛乳をコーラに対して少なめに入れたのは、透明度を高めるため。塩析には酸が必要だが、コーラに含まれるクエン酸等はあまり多くはないだろう。そのため、その成分と反応できる最大の牛乳の量はあまり多くないため、その量を超えて牛乳を加えると、カゼインが残り、溶液が濁ったままになってしまうためである。ここにクエン酸を追加すると牛乳を入れ過ぎた場合でも大丈夫ではあるが、今回はあくまでコーラのみを使用するといった趣旨のためにその操作は避けた。
この反応を利用した他の実験(※今回の原理の詳細もあり)
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※都留文科大学理科教育の一環