今回は紫キャベツを用いて実験してみました。
動画
・準備物
紫キャベツ、メスシリンダー、おろし器、包丁、まな板、絞り布、ビーカー、洗瓶、炭酸ナトリウム、水、塩酸、駒込ピペット
・操作手順
- まな板と包丁を用いて紫キャベツを適当な大きさに切り、おろし器ですりおろす。
- おろした紫キャベツを絞り布に移し、絞ってビーカーに絞り汁を取り出す。
- メスシリンダーに炭酸ナトリウムを加える。さらに水を加える。
- 紫キャベツのしぼり汁を加えて更に塩酸を加えて、メスシリンダーを軽く振って混ぜる。
・留意点
下方に炭酸ナトリウム、上方から希塩酸を滴下すると、アルカリ性と酸性のせめぎ合いによって、カラフルなグラデーションが観察されるというもの。
一般的に水溶液中の成分の熱運動は、温度に支配され、一定時間が経過すると均一な水溶液となっていく。しかし、一定条件のもと、水溶液の液性に偏りが残りやすい場合もある。濃度や温度が違う液体が混ざりにくいことはよく知られ、寒流と暖流、塩分濃度の濃い部分の滞留などが例示されることがある。
この演示実験は、pHの差が残るような操作によって、指示薬の色のグラデーションを作るというものだ。無水炭酸ナトリウムを試験管の底に入れてから水を加えると、水和物が形成される。この水和物がゲル状となるので、上方からの成分が移動してきてもその動きをブロックする役割を果たす。そのため、しばらくは炭酸ナトリウムの結晶は残り続け、試験管下方はアルカリ性を保つというしくみだ。画像は、上から色素粉末を落としても、試験管の底に近い部分で下降が抑えられているところ。
上方からは希塩酸を滴下していくが、時間経過とともにきれいなグラデーションが観察できるようになります。特に、炭酸ナトリウム結晶の近くは、pH12程度なので色素が黄色くなる。その上に青い成分と混じり合って黄緑色に見える部分ができます。さらに、青と紫、紫と赤の部分が微妙な色合いを呈する。
・紫キャベツの色変化説明
紫キャベツ中のアントシアニン色素により、酸性かアルカリ性かなどのpHにより分子構造が変化することで色が変化する。
リトマス試験紙は赤から青、青から赤への変化しかしないため、また、フェノールフタレイン溶液はアルカリ性でしか色が変わらないため、酸かアルカリが細かくは分からない。アントシアニン色素は酸性→アルカリ性へと変わっていく間にさまざまな色になる。そのため、リトマス試験紙より細かく酸かアルカリかの分類が可能である。アントシアニン色素は酸性だと弱酸から強酸になるにつれてピンクから赤色に変化し、アルカリ性だと、弱アルカリ性から強アルカリ性になるにつれて青緑から黄色に変化していく。
参考にしたメンバーのブログ
監督官をしていただいている先生のブログ(らくらく理科教室)はこちら→らくらく理科教室 (sciyoji.site)
先生のYouTubeチャンネルはこちらから→らくらく科学実験 - YouTube
※都留文科大学理科教育の一環