今回は、尿素水を用いて結晶作りをしてみました。
※動画は都留文科大学理科教育法の模擬授業の一部
動画
綺麗な色を付けたもの(※先生の動画を引用させていただいています)
・準備物
メタセコイヤ(松かさなどの多孔質なもの推奨)、蛍光マーカー、スポイト、ビーカー、粘土、ステンレス皿、ブラックライト、爪楊枝、ドライヤー
・操作手順
- メタセコイヤに蛍光マーカーで色を付ける。(※かなりマーカーで色を付けないと結晶に色が付かないので注意)
- メタセコイヤに爪楊枝を刺す。
- 尿素入りビーカーにメタセコイヤをしっかりたっぷり浸し、ステンレス皿に粘土で土台を作り、爪楊枝を刺したメタセコイヤを立たせる。(※土台はメタセコイヤが倒れないようにしっかりと)
- ドライヤーでメタセコイヤを軽く乾かす。(※時短のため。自然乾燥でも十分結晶が育つ)
- スポイトを用いて尿素液をメタセコイヤにかける。その後、乾燥と尿素液を加える操作を何回か行い、結晶の成長を観察する。
- 部屋を暗くし、ブラックライトで照らしてみる。
・留意点
- 蛍光マーカーをしっかりと塗ること。それでも蛍光が見られにくい場合は、メタセコイヤや松かさの隙間に、蛍光マーカーで色を付けたティッシュペーパーを挟むと綺麗に色が観察できる。
- 乾燥が不充分な状態で尿素液をかけると、ふわふわとした結晶が出来にくくなる。
紙や木片など、表面が細かな構造を持っているものに、きれいなクリスタルの房がどんどん成長していく。また、成長速度はかなり早く、短時間で結晶が観察できる。これは尿素の水溶液が毛管現象により紙や木に浸透して、水分の蒸発により尿素成分が次々と結晶化していく現象である。出来上がったものは、化学の華(ケミカルフラワー)として知られているものだ。
尿素液に加えられた洗剤(界面活性剤)により表面張力が弱められ、溶液が毛管現象によって松かさやペーパーフィルターに浸みこんでいく。これらの素材は、微細な構造を持ち表面積が大きいため、水分が蒸発しやすくなる。溶解度の大きい尿素が、大量の結晶となって析出してくるというものである。イメージとしては、ミョウバンがいい例だ。しかし、ミョウバンよりも遥かに溶解度は高い。(ちなみに、溶解度は100gの水に…であり、100mlの水にではない。)
毛細管現象について(参考にしたメンバーのブログ)
乾燥しやすい先端部に結晶ができ、そこに重なるように次々と結晶の房が成長していく。まるで白い花が咲いたようになるので、尿素フラワー、ケミカルフラワーなどとも呼ばれているものだ。界面活性剤は水の表面張力を弱め、クレンザーは結晶の核をつくりやすくし、洗濯のりは析出した結晶を壊れにくくするための工夫だ。スライドグラスに尿素液を滴下して顕微鏡で観察すると、爆発的に結晶化していく様子がわかり興味深いものがある。実験では、白色結晶に蛍光マーカーで着色していますが、コニファーなどの針葉樹を材料にミニクリスマスツリーを作ったりと、楽しみが広がる実験である。
身近だが有機化学史上重要な物質
尿素 (NH2)2CO は、身近なところでは、乾燥によるひび割れに効くというクリームや肥料に使われ、比較的安価に購入することができる。哺乳類や両生類の尿にも含まれ、成人は毎日約30 gの尿素を排泄しているといわれている。尿素は、水に大量に溶け、20 ℃での溶解度は、108 g/100g水 であり、溶解時には吸熱反応のため溶液が冷たく感じられる。次の熱化学方程式からは、尿素1 mol(約60 g )から、100 g の水が、(15400/4.18)/100 ≒ 36 ℃も温度が下がる計算となります。
(NH2)2CO + aq = (NH2)2COaq - 15.4 kJ
この吸熱反応は、硝酸アンモニウムと尿素の混合物による携帯用の冷却パックにも利用されている。
監督官をしていただいている先生のブログ(らくらく理科教室)はこちら→らくらく理科教室 (sciyoji.site)
先生のYouTubeチャンネルはこちらから→らくらく科学実験 - YouTube
※都留文科大学理科教育の一環