安全ピンに金メッキ

今回は、安全ピンに金メッキをしてみました。

 

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安全ピンを用いて簡易的な金メッキを試してみた。以下、引用。

引用先→ヨウ素に金が溶ける ~安全ピンの金メッキ~ - science_memoの日記

参考記事→金メッキ_安全ピンを金色に! | らくらく理科教室 (sciyoji.site)

 

【概要】

ヨウ素液に金箔を溶かし、アスコルビン酸(ビタミンC)を加え、金コロイドを生成した。その後、金コロイドに電圧をかけ安全ピンをメッキした。

【詳しい話】

ヨウ素 I₂ はヨウ化カリウム KI 水溶液によく溶け、三ヨウ化物イオン I₃⁻ (ヨウ素デンプン反応においてデンプンを青紫色に呈色させる原因もこの三ヨウ化物イオン)となって存在している。-①

三ヨウ化物イオン I₃⁻ は金 Au と反応し、錯イオンとなるが、この錯イオンは非常に不安定であるためすぐにテトラヨージド金(Ⅲ)酸イオンとなる。-②、③

そこにアスコルビン酸水溶液を加えることで錯イオン中の金(+Ⅲ)原子が還元される。-④

① I₂ + I⁻ ⇄ I₃⁻

② 2Au + I₃⁻ + I⁻ → 2[AuI₂]⁻

③ [AuI₂]⁻ + I₂ → [AuI₄]⁻

④ Au³⁺ + 3e⁻ → Au

※還元された金原子はコロイド粒子として水溶液中に分散する。そこにアスコルビン酸を加えることで金粒子の表面にアスコルビン酸が吸着し安定して存在することが出来る。しかし、これらは静電気的に安定しているだけであるため、電気を流すと金粒子は陰極に向かい金属表面に張り付くと考えられる。

【実験】

・準備

ヨウ素液(I₂:KI:エタノール:水=6:4:63:27) アスコルビン酸水溶液(0.05g+純水0.5ml) 金箔1/4枚 薬包皿 電池 リード線 ガムテープ 安全ピン2本 爪楊枝 シャー芯 炭酸水素ナトリウム粉末(重曹) シャーレ

・操作

1.試薬を調整、準備する。

2.薬包皿を固定し、赤いリード線(陽極)にシャー芯をはさみ、陽極が左手、陰極が右手にくるようガムテープで固定する(陰極側はある程度自由が利くようにしておく)。

3.安全ピンを繋げる。

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縦の安全ピンを陰極側のリード線とつなげる。

4.薬包皿に入るよう、金箔を爪楊枝で丸める。

5.薬包皿にヨウ素液1mlをとり、その中に金箔をいれてとかす。

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画像では陽極側にシャー芯をつけているがこの過程で折れたため後でつければよいと思う。

6.金箔が完全に溶けたら、アスコルビン酸水溶液を0.5ml加え爪楊枝で混ぜ溶液が透明になったことを確認する。→金コロイド

7.陰極側のリード線に3の安全ピンをはさみ、水溶液中に浸す。陽極のシャー芯に当てないようにメッキする。

8.炭酸水素ナトリウム粉末をシャーレに適量とり、メッキした安全ピンを磨く。

9.粉末をよく落とす(水で洗っても良い)。

10.7~9の操作を2,3回繰り返す→金が付着した安全ピンのほうがメッキされやすくなるため回数を重ねると綺麗な金色になる。

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右側の安全ピンがメッキされたもの



【まとめ】

・何人かでこの実験を行ったが、金が溶けきる速さにかなりの差があった。おそらく金箔の密度を高くしてしまった(金箔を丸める際小さく、硬くしてしまった)人は溶けるのに時間がかかってしまったのだと思う。

・金は王水にしか溶けないというわけではなかった。王水だけでなくヨウ素ヨウ素以外のハロゲンにも溶けることを知った。

 

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