今回はウミホタルを用いて実験をしてみました。
動画(※動画は都留文科大学化学実験Ⅰの一部)
・準備物
乾燥ウミホタル 数粒、ガラス棒、ルミノール水溶液(ルミノール0.02g+水酸化ナトリウム0.2g+水を加えて全量を20ml)、試験管、薬方皿、水 極少量
・操作手順
- 乾燥ウミホタルを薬方皿にとり、試験管に移す。
- 水を数滴加えて、ガラス棒でウミホタルを軽くつぶす。
- つぶしながらウミホタルをつついて様子を観察する。
・留意点
- ウミホタルが古いと発光が観察されない場合があるので注意する。
- 水を入れ過ぎると発光の観察がしにくいので、数滴で十分である。
- 綺麗な水では光らないため、水道水で行うとよい。
- ウミホタルを潰さないと様子が観察できないので注意。事前に乳鉢などですり潰してから行うとよい。もしくは、ある程度潰す操作を始めに取り入れておく。
原理
①発光について
生物発光と呼ばれるもの。有名なものではホタルがある。体外に放出された基質(ルシフェリン)が、酵素(ルシフェラーゼ)の作用によって酸化され、その時発生した化学エネルギーにより発光する。今回は乾燥ウミホタルを使用したが、乾燥していても発光が観察できた理由としては、発光に関与する化学物質が結晶化して保存されているからと考えられる。ウミホタルの生息地域や種類によっては、今回のような青白い光もあれば黄色に発光するものもいるとか。また、発光反応には水が必要なため、長期保存の際は冷蔵庫などでの保存が必要。
②ウミホタルとは
全長2~3㎜の節足動物甲殻類貝虫目ウミホタル科に属する無脊椎動物。見た目はガラス玉のようにも見える。生息域は、水質の良い所や沿岸の砂底などが挙げられる。死んだ魚の肉などに食いつくとか。
③生物発光の関連で、ホタルについて
ホタルは、体内に存在するルミノールに似た構造を持つルシフェリンが、ルシフェラーゼという酵素とATPの働きでオキシルシフェリンという物質になる。このエネルギーが高い励起状態のオキシルシフェリンが分解して一気に安定した基底状態に戻るとき、余剰のエネルギーが黄~黄緑色の光となって放出されると考えられている。また、これらの体内で関与した物質は効率的にリサイクルされることも知られている。ホタルの種類によって色合いが違う他、幼虫期でも発光が観察できるらしい。チョウチンアンコウ等、生物発光の面白さがよくわかる。
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※都留文科大学理科教育の一環