今回は、ルミノール反応を長く観察できる工夫をしてみました。
動画(※動画は都留文科大学の化学実験Ⅰの一部)
より詳細な作り方動画
・準備物
ティッシュペーパー、ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム(鉄剤) 約0.3g、テープ、ペットボトル(500ml)、ルミノール液(ルミノール0.04g+水酸化ナトリウム0.4g+水40ml+過酸化水素0.4ml)、50mlビーカー
・操作手順
- ティッシュペーパーにヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウムを少量くるみ、テープでとめる。(※止め具合によって反応の持続時間が変わるので注意)
- ペットボトルにルミノール液とヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウムを入れ、蓋をする。
- ペットボトルを振って発光を観察する。
・留意点
- ティッシュペーパーでくるんだ後、軽くとめる程度だと、ティッシュペーパーがすぐに破れてしまい発光が一瞬で終わってしまう。持続させたいなら、ある程度ティッシュペーパーにテープを巻き付けて、破けにくくしておくとよい。
- 鉄イオンが少なくても発光量は大きく変わらないため、少量ずつ用いる今回の手法が良いと思われる。
- テープで固く固定していない限り、強く振るとティッシュペーパーが破ける恐れがある。軽くとめた場合は、揺らすように軽く振る程度にしておく。
- 使用済みペットボトルは焼却処分が望ましい。
- ルミノール液は、長期間保存が可能である。(約1か月ほどだが、管理には十分注意する)
原理
詳しい原理はこちらの記事でも解説→証拠を探せ!『ルミノール反応』 - VCPteam’s blog (hatenablog.com)
物質がエネルギーの高い励起状態から安定した状態に移行する際に、余ったエネルギーを放出し、それが光に変換される現象を、化学反応の結果で光を発するため『化学発光』と呼ばれる。化学発光は熱の発生をほとんど伴わないため、冷光とも呼ばれる。今回は、ルミノールが過酸化水素のような酸化剤によってエネルギーの高い不安定な励起状態にされることにより、それが安定した物質に移る際に余剰なエネルギーが青白い光となって放出される。
ルミノールを用いた発光現象は、鉄(Ⅲ)イオンのような触媒が存在しないと反応がほとんど進まない。逆に、発光現象によって鉄(Ⅲ)イオンの存在を確認することが出来る。つまり、鉄(Ⅲ)イオンが触媒として働き、酸化反応を促進するというわけである。これを利用して、血痕の鑑識に用いられたこともあったが、人間の血痕なのかどうかの判定能力が低かったとされている。人間の血液ではよく発光が見られるが、レバーなどを用いると上手く発光が見られないとか。
ちなみに、ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウムは錯イオンで、赤血カリとも呼ばれる。(Ⅱ)を用いても発光は見られない。
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※都留文科大学理科教育の一環