【概要】
吸熱の学習において、準備のしやすいものを用いて実験を行った。
動画(※都留文科大学化学実験Ⅰの一部)
・準備物
粉砂糖(100%グラニュー糖使用) 20g、クエン酸 2g、炭酸水素ナトリウム 2g、紙コップ、水入り霧吹き、シリコン型、手袋、作業トレイ、ティッシュペーパー
・操作手順
- 紙コップに粉砂糖20g、クエン酸2g、炭酸水素ナトリウム2gをとる。
- 作業用トレイに紙コップ内の全量を出し、霧吹きで数回、混合物が少し湿る程度に水をかける。
- 手袋をつけ、混合物をこねる。ある程度こねたら、シリコン型に詰め込む。(汚れるので、作業用トレイ上で行う)
- 乾燥したら取り出し、ティッシュペーパー上に落とす。(感想は時間をかけるとよい)
- 出来たものを食べたり、手の上で水をかけて溶かしてみる。
・留意点
- しっかりと詰めてから十分に乾燥させること。
- 霧吹きで水をかけるが、意外と固まらない。ただし、水のかけ過ぎには注意。固まる程度まで、順次霧吹きして様子をみつつ追加する。
- 青色に着色すると錯覚でさらに冷たく感じる。
原理
①吸熱について
クエン酸と炭酸ナトリウムの中和反応は...
C(OH) (CH₂COOH)₂COOH + 3NaHCO₃ → C(OH) (CH₂COONa)₂COONa + 3H₂CO₃
中和反応と共に、弱酸の炭酸(H₂CO₃)が遊離して容易に水と二酸化炭素に分離する。(遊離時に吸熱が起こる)
H₂CO₃ → H₂O + CO₂↑(吸熱)
これは吸熱反応を伴う。中和反応なので熱が発生するが、吸熱が中和熱を打ち消す量を大きく上回るため、全体としては大きな吸熱反応となる。クエン酸と炭酸水素ナトリウムは、菓子のラムネの材料でもあり、ラムネが口の中でヒヤッとする感覚の理由とも考えられる。
②遊離と余談
今回使用したクエン酸と炭酸を比較する。酸の強さはクエン酸(強酸寄り)>炭酸(弱酸寄り)
重曹(炭酸塩)となっていたが、弱酸の遊離により、弱酸である炭酸が離れた。また、CO₂が気化する際に熱を奪うので吸熱反応になる。
ちなみに、水に溶けているときは炭酸(H₂CO₃)だが、サイダーなどの飲料は、低温・圧力で二酸化炭素(CO₂)を注入している。
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