電気でホットケーキを作ろう!

今回は電気でホットケーキを作成してみました。

【完成写真】

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操作動画(※御指導頂いている先生のチャンネルになります)


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・準備物

牛乳パック(※底の部分を使用。高さは使用する電極の長さや材料の量によって合わせて使うこと)、ホットケーキミックス粉 90g、100mlビーカー、牛乳 70ml、割りばし、電極用チタン板 2枚(※使用する電極は害のないものを使う)、専用の電気コード(ワニ口クリップ付き)、ガムテープ、アルミホイル、爪楊枝、【お好みで味をつける用のココアや紅茶粉末 少量】

 

・操作

  1. 牛乳パックを電子天秤に置き、ホットケーキミックス粉を90gはかりとる。
  2. 100mlビーカーに牛乳70mlを取り、ホットケーキミックス粉に加えて割りばしで混ぜる。
  3. 牛乳パックの側面(対面)に電極用チタン板2枚を配置し、専用の電気コードのワニ口クリップ部で固定する。
  4. 牛乳パックを電源の近くに移動させ、コード部分をガムテープで固定する。(※まだ電源には差し込まないこと!)
  5. 転倒の恐れが無いことを確認した後、電気コードのプラグを電源タップに差し込む。(※ここからは片手操作。理由は感電防止。5分以上通電させる。場合によっては短縮や延長も。)
  6. 水蒸気が出なくなって一定時間経過後、電極に触れないようにして、プラグをコンセントから抜く。
  7. 牛乳パックの中身を取り外してアルミホイルの上に置き、爪楊枝などで突いて観察する。

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ホットケーキミックスには電解質が含まれているが、電気を通じて発生する熱によって生地が膨らみ、次第に電気が通らなくなり、ほおっておいてもスイッチが切れる。ただし、電極に触れないように注意しなくてはならない。 

 

電極にはチタン板(ケニス製:68×80×10mm)を使用、AC100Vで安全のため回路中に200W電球をつなぐことが推奨されている。電気器具を用いる実験として、かつてはよく実施されていたが、もちろん調理ではなく、あくまで実験であるため、実験室で安易に食することは認められていない。ただ、糖質生地が電気による熱で焼きあがる仕組みを学習するという点では良い教材である。また、大きな電流が流れるため、感電防止配慮が必要、倒れにくいようにガムテープでコードを固定している。操作は一人が担当し、何が起こっても反射的に手を出さないよう注意を徹底することが必要である。

イオン結晶は、正負のイオンが電荷を中和するように規則正しく並んで構成されている。このイオン間の結合は強固で、結晶内部でのイオンの動きが抑制されているので、結晶そのものは電気を通さない。しかし、水のような極性を持つ溶媒に溶解した場合は、イオンが自由に動き回るようになるので電気を導くようになる。材料のホットケーキミックスには糖質のほかに、NH4+、Cl、Al3+などが含まれているため、水に溶かすと電気を導くようになる。炭酸水素ナトリウムが熱分解を起こし、発生した気体が糖質の生地の中に留まることでふかふかした構造になる。(エアイン構造)

 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2

炭酸水素ナトリウム→炭酸ナトリウム+水+二酸化炭素

 

通電によって電気エネルギーにより熱が生じ、生地がα化する。さらに次第に水分が失われ(熱を受け取って水蒸気として出ていく)、イオン移動が鈍くなる。それによって電流の流れが減って最終的には通電しなくなる。なお、水を蒸発させるための熱量は、次の熱化学方程式の通り100℃の水18g(=1mol)を蒸発させるだけで、41kJものエネルギーを必要とする。

 H2O(液) = H2O(気) – 41kJ

 

・留意点

  • 使用する金属板は安定しているチタンを用いることを推奨。イオン化しにくく安定しているため。鉄(Fe)や銅(Cu)は金属イオンの溶出が起こり有害である。
  • 容器内にクッキングシートを敷くと、容器を使い回すことが出来る可能性がある。

 

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都留文科大学理科教育の一環