今回は備長炭で電池を作ってみました。
動画
・準備物
備長炭 約20㎝、金網、ガスコンロ、針金 2本(15㎝程度の長さだが、備長炭の太さに合わせて長さは調整)、アルミホイル、リード線、キッチンペーパー、約3%塩化ナトリウム水溶液 5ml、駒込ピペット、ソーラーモーター(低電圧モーター)、フェノールフタレイン指示薬
・操作
- 備長炭を金網を乗せたガスコンロで軽くあぶり、その後放冷する。(※加熱しすぎは熱くなりすぎるので、ごく短時間でOK。酸素の吸着と臭いや別の吸着物を追い出すのが目的。)
- 備長炭上部に針金を巻き付けねじり、接点を作る。
- 針金に触れないようにキッチンペーパーで備長炭をくるむ。
- 更にその上からアルミホイルを巻きつけ、備長炭下部にもう一つの針金を巻き付け接点を作る。(※この際、アルミホイルが備長炭や備長炭上部の針金に触れないように巻き付けること。ショートが起こってしまい危険。キッチンペーパーでアルミホイルと備長炭が仕切られている形にする。)
- アルミホイルを少し開き、塩化ナトリウム水溶液を駒込ピペットを用いてキッチンペーパーを十分に湿らせる。(※針金等に付着させないように注意。さびてしまう)
- リード線を針金の接点に繋ぎ、モーターなどを接続して様子を観察する。また、時折備長炭をアルミホイルの上から強く握る。
- 終了後、解体時にアルミホイルの様子を観察し、ペーパー部分にフェノールフタレイン溶液を滴下する。
・留意点
- 備長炭は加熱しすぎると熱くなり危険。
- バーベキュー用の炭では作用しない、作用しにくいので非推奨。
- 電子部品等に塩化ナトリウム水溶液が付着したら濡れた布巾ですぐにふき取ること。
- 解第後、備長炭は軽く水洗いをして塩分を取り除く。
炭の主成分はほぼ単体の炭素と考えてもよく、金属でないのに導電性を示す物質である。この場合、炭は単にアルミホイルから供給された電子を酸素に渡す役割をしているだけである。
負極(アルミホイル):Al → Al³⁺ + 3e⁻ 電子放出
そのため反応物はあくまでも空気中の酸素である。
正極(備長炭):O₂ + 2H₂O + 4e⁻ → 4OH⁻ 電子を受け取っている
炭が電極になる理由は、熱によって植物体から水分子が除かれたもので、細胞の形がある程度保持されたまま細かい空間(多孔質体)を作るためで、内部に酸素が吸着されやすくなっているからである。特に、備長炭は酸素の吸着率が高く、電極での酸素濃度を高く保つので、より酸化還元反応を起こしやすいものと考えられる。
両電極間での反応は、上記2式を足して、
4Al + 3O₂ → 6H₂O → 4Al(OH)₃
反応後の炭電極でペーパー部分がフェノールフタレイン溶液により赤紫色を呈するのは、生成する水酸化物イオンによるものと考えられる。
ちなみに備長炭が果たした役割としては、触媒、O₂の吸着、電極としての役割がある。
アルミ缶1個を作るのに、テレビを数時間点ける電気を消費すると言われる。そのため大量の電気を使用して作られることから『電気の缶詰』と呼ばれる。また、アルミ缶がリサイクルの優等生とされることとも関係がある。
アルミニウム1mol(27g)の全てから得られる電子量はその3倍mol。(1molの電子e⁻は96500Cに相当)
Al → Al³⁺ + 3e⁻
1molの電子が持つ電気量をクーロン(C)で表すと、96500C。アルミニウム1mol(27g)が全て電気エネルギーに変換できたとすると、
96500C・1mol・3電子=289500C になり、多くのエネルギーを取り出すことが出来る。
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※都留文科大学理科教育の一環