シクロヘキサンを加熱して、分子量測定を試みてみました。
動画
気体の状態方程式(pV=nRT)を用いて計算する。気体の状態を一定気圧、一定温度を保ち、その気圧の体積と質量が分かれば、物質量から分子量を求めることが出来る。
【器具】
100ml丸底フラスコ、アルミホイル(蓋用)、電子天秤、スタンド、500mlビーカー、温度計、1ml駒込ピペット
【試薬】
シクロヘキサン C₆H₁₂ 1ml
【操作】
- 100 mL丸底フラスコとアルミホイルのキャップホイルの合計質量m1を精密電子天秤(設置台には樹脂リングを用いる)にて計測しておく。
- 丸底フラスコの保温槽をつくる。スタンド・500 mLビーカー水・温度計で構成する。
- 丸底フラスコに1 mL用駒込ピペットを用いてシクロヘキサン1 mLを入れる。アルミホイルのキャップをして、中央部分に小さなピンホールを空けておく。
- 水温を85-90 ℃に保ちそのときの温度 t ℃を計測する。
- 過剰なシクロヘキサンがピンホールから放出されたころを見計らって、フラスコをホイルがついたままの質量m2を計測する (※m=気体で満ちたフラスコの重さーフラスコの重さで、シクロヘキサンの気体分が求まる)
【実験の様子】
【動画内のシクロヘキサンの様子の図】
1.シクロヘキサンが気化する。
2.外気の方が気温が低いため、気化したシクロヘキサンが液体になる
3.液体のシクロヘキサンが壁面を伝って落ちる。
「結 果」
m₁ = 57.946g
m₂ = 58.293g
よって、mは、m₁-m₂から、58.293-57.946 = 0.347〔g〕
お湯の温度t℃は、計測から92℃であった。
「考 察」
1.P₀ = 1000hpa(実験日の測定値), お湯の温度t℃ 273+92 = 365(K), V = 0.1(L)
気体定数R = 8.31×10³〔L・Pa/(K・mol)〕を用いて、気体の状態方程式pV = (m/M)RT を解き、理想値のシクロヘキサンの分子量を出す。
pV = (m/M)RT
(m/M) = pV/RT
= 1.0・10⁵・1.0・10⁻¹/8.31・10³・365
= 1.0・10/8.31・365
= 10/3033.15
= 0.0032969025…
3.30・10⁻³
- m₁ = 57.946g, m₂ = 58.293gを用いて、実験値のシクロヘキサンの分子量を求める。シクロヘキサンの式量を84.16とする。
m₂-m₁/84.16 = 0.347/84.16
= 0.0041231…
4.10・10⁻³
3.理想値と実験値の差異を調べ、考察する。
(4.1・10⁻³/3.30/10⁻³)・100 = 124.24…
≓ 124%
このことから、理想値よりも分子量が大きく出てしまった。考えられる理由としては、過剰のシクロヘキサンが気体となって丸底フラスコ外に出ていってから質量を測定したが、フラスコを水に浸していたため、拭いたとしてもフラスコの口等に水滴が残っていたかもしれない。そのために質量が大きくなり、誤差につながったのではないか。
他には、加熱時間が短かったために、シクロヘキサンが完全に気体にならずに液体として残っていたために、質量が液体分だけ増加して、誤差が生まれたのではないか。
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※都留文科大学理科教育の一環