水で空き缶潰し! 大気圧

今回は大気圧を利用して缶を潰してみました。

 

動画

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・準備物

空き缶、水 極少量、コンロ、るつぼはさみ(今回はハサミで代用。ハサミの刃が悪くなるから非推奨)、水を入れられる大きめの容器、容器に入れる水

 

・操作

  1. 缶内に水を入れる。
  2. 用意した容器に水を満たす。(ギリギリまでは必要なし。)
  3. コンロで缶の底を、るつぼはさみを使いながら加熱する。(加熱が足りないと動画前半のように失敗する。)
  4. ある程度加熱したら、缶の口を容器内の水面につける。(加熱を止めてから缶を冷やすまでの作業は素早く行うこと。長時間加熱は厳禁。)

・留意点

  • 缶の加熱を止めてから水面に口をつけるまでの作業は素早く行うこと。遅いと蒸気が冷えて、綺麗につぶれなくなる。
  • てのひらを上に向けた状態でるつぼはさみを持ちながら加熱をすること。水面にスムーズに缶をつけられるようにするため。
  • 熱湯や蒸気が手にかからないように十分注意する。
  • ハサミを使う際は注意しつつ、刃が傷めない様にガムテープ等を巻き付けると良い。

 

空き缶内部の圧力は、熱せられて沸騰している水分子が内部に一杯になっている。その水蒸気圧は大気圧に等しく、1 atm = 760 mmHg = 1.013×10Paと考えられる。しかし、加熱をやめて素早く水槽の水に触れさせると、一気に蒸気圧が低下(20℃で約17 mmHg)するため、外部(大気圧)と缶内部の圧力には大きな差が出てしまう。結果、空き缶は、外側からの圧力に耐えきれなくなってつぶれてしまうのである。ちなみに、気圧の単位は、atm・ mmHg・Paなど、表し方が異なっているので注意が必要である。

理想気体という考え方がある。圧力一定下で、温度を2倍にすれば体積も2倍、温度一定下で、体積を1/2にすれば圧力は2倍に、というようにボイルシャルルの法則とそれを延長した気体の状態方程式が成り立つ理想の気体のことである。しかし、実在の気体は、原子・分子などの粒子自身の体積や質量、粒子間の相互関係が複雑にからんでいて、先述のような法則は厳密には成立しない。固体や液体という状態をとるので、もとより「気体」の状態を問うことができない場合も少なくない。今回の操作では、水の状態変化を劇的な形で取り扱った。

空き缶中の水が蒸気になっている状態(=蒸気圧が大気圧に等しい)にして、すばやく水面にふたをするように水に触れさせると一気に缶がつぶれる。蒸気が水温まで急冷されたためその温度の蒸気圧まで低下する。それを利用して缶を潰したのである。

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都留文科大学理科教育の一環

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