簡易気圧計の工作

今回は簡易気圧計を作成してみました。

 

動画


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・準備物

500mlペットボトル、ストロー(あまり短いとやりずらい)、水道水、食紅、油粘土、定規、油性ペン

 

・操作

  1. 水道水をペットボトルの底から3㎝ほど入れる。
  2. 水を食紅で着色する。(観察しやすくするため)
  3. ストローに0.5㎝ずつ印をつける。
  4. ストローをペットボトルに入れ、水面に先端が浸かるようにしつつ、油粘土でストローを固定する。(油粘土で固定するときは、密閉するようにすること)

原理としては水銀気圧計と似ている。水面にかかる圧力(今回は気圧)の強さによって、ストローの水面の高さが変化するというもの。より正確に測定するには、容器は硬い方が外部の圧力を正確に測定できると推察する。

息を吹き込んで圧力を高めると、解放したときに一気に水面が上がる。息を吹きかける前と後の水面の差からどれだけの圧力をかけたのか推察することは可能。

ただ、気圧の高い低いの変化は観察できるが、気圧が幾つなのかは計測不可なので、気象庁のデータと照合することには使用できる。データを使用できれば、数日の簡易気圧計の観察をした後、0.5㎝が何気圧なのか単位を求めることも出来る。(例:1日目の簡易気圧計2.0㎝、気象庁気圧データ950hPa、2日目の簡易気圧計3.0㎝、気象庁気圧データ940hPaより、1.0㎝で10hPa差、0.5㎝では5hPa)

高気圧ではストロー内の水を強く押すので水位は低く、低気圧ではストロー内の水を押す力が弱まるので水位が上昇。トリチェリの実験では水銀面がストロー内の水面のイメージ。

また、手でペットボトルを温めるとボトル内の空気が膨張して水面を押すので、気圧が下がったように出来てしまうことから精度は低い。他に、この特性を生かして、温度計としても使用できる。

 

【以下考察独り言メモ】

 河口湖の観測気圧データと、簡易気圧計の水位の変化は概ね同じであると言える。しかし1~2hPa程度の気圧の変化では、簡易気圧計に変化が見られなかった。そのため、10hPa程度の変化を簡易気圧計で観察することは出来るが、1hPa程度の変化を観察することは出来ないと考える。また、手で温めると水位が簡単に変化してしまうことから、気圧以外に温度の影響で簡単に簡易気圧計の値は変化してしまうことが分かった。

 

気圧計の原理としては、ストロー内の水面の押される強さによって水位が変化する。気圧が高い時は水面を押す力が強いので水位は下がり、気圧が低くなるにつれて水面を押す力が弱まるので水位が上昇する。また、温度を高くするとボトル内の空気が熱で膨張し、膨張して増えた体積分ボトル内の水面が押されてしまい、その押された分の水がストローへと流入、水位が上昇する。この仕組みを用いれば、温度計としての使い道があるように思える。

 

誤差を無くす方法としては、容器をペットボトルではなく断熱性のあるものに変える方法である。温度の影響で本来の気圧と変化してしまうことを防ぐことが出来る。もしくは、トリチェリの実験のように、容器でストローを包むのではなく、圧力を受ける水面を解放した形にしてしまう方法が考え付く。ボトルではなく開放する形にすることで、温度上昇による空気の膨張が発生しても膨張による体積増加分の水位の変化を防ぐことが出来る。ただここで注意しなくてはならないのは、ストローを開放したままにしないことである。開放したままではストロー水面と開放した容器の水面が受ける圧力が釣り合ったままになってしまい、水位は一向に変化しない。容器かストローのどちらかを閉鎖した状態にすることで観測が可能になる。また、ストローの先をただ塞いでしまってはペットボトル簡易気圧計と同じである(この場合はストロー=ペットボトル、容器=ストロー)ため、ストロー内を真空にしておくことで、空気の膨張による水位変化の影響を減らすことが出来る。

 

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都留文科大学理科教育の一環

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