水中に出来るアンチバブルとは?! アンチバブル

今回はアンチバブルを作ってみました。

 

動画


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・準備物

洗剤(今回は食器用を使用、弱アルカリ性が成功率が高い)、水道水、ビーカー、食紅、ストロー、ガラス棒

(※洗剤の量は曖昧に加えたので、量は後に更新予定。動画で加えている量全てを足すと濃度は同じ程度になるはずである。)

・操作

  1. 1Lビーカーに水道水を1L入れる。
  2. そこに適量洗剤を加えてガラス棒でかき混ぜる。この時泡が立たないようにかき混ぜると、後の観察時にクリアな状態で観察ができる。
  3. ストローを使用してビーカーから洗剤液を吸い上げ、指でストローの先をふさいで液を吸い取る。
  4. 指を離して液をビーカーに戻し、アンチバブルを観察する。
  5. 1Lビーカー内の洗剤液を使用する食紅の色の数分に、ビーカーに分けて着色する。
  6. 先ほど使用したストローを用いて色付き洗剤液を吸い取り、3.4.と同様の操作を行って観察する。

アンチバブルを作るコツとしては、ストローで吸い取る液量を多めにする。また、液を落とすときはストローを斜めにして、ビーカーの水面近くから小指程度までの間の隙間分にまでストローを近づけてから液を落とすと成功率が高い。(注意としてはストローの先端は水面に触れさせないこと。触れさせると空気が送り込めない。また、高所から自由落下で落としても作れるのだが、液が飛び散るので推奨しない。)液量が多いとその重さから空気を無理やり水溶液内に送り込むことが可能になっていると考える。また、ストローの太さによってもアンチバブルの出来やすさに差がでるようである。さらに、何度も操作を行っているとストロー内に泡が入り込んで滴下に勢いがなくなる場合がある。その時は水道水等でストロー内を一度洗うと良い。(そのストローを使うと濃度が薄まるので調整するとよい。今回の動画ではあまり影響はないように思えた。)

 

食紅を加えた液を使う際は後半や最後の方が良い。色を加えたバブルを何度も作ると溶液が濁って観察しにくくなる為。また、初めに1Lと大量に洗剤液を作ったこと、それを色水を作る際に分けて使用するのは濃度を変化させないため。バブルを作る溶液と、加える溶液(色水)の洗剤濃度に差があると、アンチバブルが安定して作ることが出来ない。また、今回の失敗として食紅を加える量が少なく色があまり付かなかった為、もっと濃い着色を行えばよかった。しかし、界面活性剤に影響が出ない程度に留めなくてはならない。

 

通常シャボン玉は、親水部に囲まれたシャボン液層と、更に内部の疎水部に囲まれた空気によって構成されている。つまり、石鹸等の薄い膜で出来ていると言える。一方安置バブルはシャボン玉の構造とは逆になっている。つまり、外側は疎水部に囲まれた空気層、内部は親水部に囲まれたシャボン液で出来ている。つまり、空気の膜をまとったシャボン玉である。

シャボン玉の構造とは逆の構造を持っていることからアンチバブルと呼ばれる。

 

ちなみに、

親水基・・・水になじみやすい部分。水に混ざりやすかったり水に溶解しやすい。    汚れを流すときに水をかけるが、その流れる水によくなじむので、疎水基についた汚れを水になじんで流れに乗ることで引っ張って運ぶ役割がある。

疎水基(親油基)・・・油になじみやすい性質。汚れになじみしっかりと汚れにくっつく。親水基に引っ張ってもらうような形で汚れを移動させることが出来る。親水基が水になじんで運ぶ能力を発揮するのに対し、疎水基は親水基が運べない汚れを持ってあげているようなイメージである。

 

《通常のシャボン玉の構造 赤:疎水基、緑:親水基》

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《アンチバブルの構造 赤:疎水基、緑:親水基》水中に空気膜を持った球体。空気層に向かって界面活性剤の疎水基が並んでいる。

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ストローから洗剤液を滴下すると、滴下液とビーカー側の水面との間に波が起こり、逃げ切れなかった空気がそのまま滴下液に引きずられて水中に入り込む。滴下液が空気層の内部でまとまり安定した球体を形成すると考えられる。生成したアンチバブルは空気層のために上方へ浮かびあがるが、滴下側の液体の密度を少し大きくすれば水中でアンチバブルを停留させることも可能である。

 

実際にバブルがと止まっている様子【動画では、滴下側の洗剤液の濃度を少し高めにし着色している。滴下する液体量を増やせば深く沈むとも考えたが、その分バブルが大きくなると仮定すると、浮力も大きくなるので一定のラインまでしかバブルは沈まないと考える。そのほか、滴下される溶液の濃度を、滴下する溶液の濃度よりも低くすれば浮力は小さくなるので浮きにくくなると思われる。要は、溶液の濃度に差を作り、滴下する側(アンチバブル内部の溶液)の溶液の密度が高い状態にしてやればよい。】

 

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今回の動画では、浮くものと沈むものがあった。滴下する溶液の濃度は高いので沈む筈だが何故浮くものもあるのか…考察の余地がある。

 

沈ませたバブルを浮かせる方法もある。滴下される側の溶液の濃度を高くしたり、気体を発生させて気体を纏わりつかせてあげる等が考えられる。

 

偶に、上手く滴下が出来ないと水面に溶液が乗る光景が見られることがある。それをアンチドームと言い、バブルの半身が水に沈んでいる形になっている。しかし、溶液同士に挟まれている空気はすぐに逃げてしまうので長い間の観察は、工夫無しでは難しい。

 

【アンチドームの図】

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監督官をしていただいている先生のブログ(らくらく理科教室)はこちら→らくらく理科教室 (sciyoji.site)

 

先生のYouTubeチャンネルはこちらから→らくらく科学実験 - YouTube

 

都留文科大学理科教育の一環

 

【使用したストローを掛けておけば、机に置かずに済んで汚れにくい】

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