今回は、火をつけても水面までしか燃えないコップについて実験してみました。
動画
・準備物
水、着色料 各色、爪楊枝、紙コップ、発泡スチロール皿(ポリスチレン)、プラスチックカップ(ポリエチレンテレフタレート製)、ベニヤ板(砂地やコンクリートなど耐火性のあるものが望ましい。)、新聞紙等の吸水性のある紙 数枚(撥水してしまうコピー用紙などは非推奨)、ガスライター
・操作手順
- ベニヤ板を敷き、その上に新聞紙等の紙を数枚重ねて敷く。さらに紙全体を十分に水で湿らせる。
- 塗れた紙の上にカップを並べ、カップ内に水を注いだ後、爪楊枝を用いて着色料で色をつける。
- ガスライターで、コップ上部に火をつけて燃やし、様子を観察する。
・留意点
- すすや気体が発生するので、必ず換気を行う。
- 火災防止の対策を行い、火傷には注意する。
- 壁面が燃えるので、水の廃棄の際はこぼさないようにバケツなどを用意しておくとよい。
原理
カップに火をつけると、上部は燃えていくのに対し、水面あたりで燃焼が止まってしまう。
理由としては、蒸発熱の関係が挙げられる。蒸発熱とは、ある液体を気体へ変化させるために必要な熱である。今回の場合、熱源(燃えている部分)が水面に近づくと、水がその熱を受けとって蒸発。熱が水に奪われる分、コップ側に伝わる熱量が減るため、燃焼し続けるために必要な熱量が不足し、水面付近で燃焼が止まってしまう。
次に、熱伝導率を見てみる。例えば、紙の場合、熱伝導率は0.06だが、水(20℃)の場合、熱伝導率は0.602と紙の約10倍である。そのため、発火している熱源の熱が優先的に水へと伝わってしまい、発火・燃焼できなくなってしまった結果水面を残すように燃焼が止まると考えられる。
仮に水ではなく熱湯であったり、外部から熱を与えれば燃焼する可能性がある。
余談だが、水は温度が高いほど熱伝導率が上昇し、ある点から下がっていくとかなんとか…。以下、燃焼について、発火点と引火点についてメモとして記録。
引火点:可燃性の液体が、爆発下限値の濃度の可燃性の蒸気を発生するときの、可燃性液体の温度。端的に言えば、可燃物が燃焼に必要な可燃性蒸気を発生する最低温度。
→引火:少し違い、可燃性物質を加熱していき、そこに火源を近づけると燃えだす現象。
発火点:可燃性物質が燃えだす最低温度。
→発火:可燃性物質を加熱していき、火源無しでも燃えだす現象。
例
- 常温の油→火を近づけても燃えない。
- 加熱中の油→火を近づけると燃える。(引火)
- さらに油を加熱し続ける→火を近づけなくとも燃える。(発火、自然発火)
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※都留文科大学理科教育の一環