ピンポン玉を使った煙玉の実演

魅力的ではあるが危険が多いため、手順等を含め安全な映像コンテンツの開発を行った。

 

動画

 


ピンポン玉を使った煙玉の実演

 

煙玉の実演:魅力的な演示実験

 

セルロイドとは、ニトロセルロース(硝化綿…綿をニトロ化して得られる化合物)と樟脳(クスノキという樹木を原料にして水蒸気蒸留法によって得られる有機物)からなる合成樹脂可塑剤です。

世界初の高分子プラスチックとして、19世紀後半に実用化され、20世紀の半ばにはあらゆる生活用品に広く用いられるようになりました。

低温で加工成型が可能であり、肌触りが良い、吸水性がある、透明性が高い、ほどよい収縮性をもつといった優れた特徴を有しています。

しかし、極めて燃えやすく、摩擦熱でも発火してしまうという大きな欠点や、光で劣化しやすく耐久性が低いという欠点も有していました。

20世紀の中盤から、セルロイド製品の規制法が強まり、次第に他のプラスチックへの代替が進み、わが国でも消防法第5類危険物指定を受けたことにより、現在では一部の眼鏡フレームや万年筆のペン軸、ギターのピックなどに使われているにすぎない状況となっています。また、卓球の公式球も、2014年から非セルロイド製の素材を用いることが義務化されています。

 

ニトロセルロースは自己反応性物質であるため、ほとんど酸素がない状態でも発火点に達すると爆発的に反応が起こり、一瞬で燃え尽きてしまいます。

ピンポン球の原料であるセルロイドには樟脳などの有機物を含みますが、約75パーセントがニトロセルロースであるため、十分に酸素が供給される状態であれば、煙や燃えカスを出さずに瞬時に燃え尽きてしまいます。

しかし、ピンポン球をアルミホイルで包むことにより、十分な酸素が供給されなくなると、完全に燃焼することができず、不完全燃焼の成分が大量に放出されます。水蒸気やこの成分が霧化した微粒子が白煙として観察されるため、まるで煙玉のようになるのです。

 

ピンポン球を強熱すると一気に燃焼してしまい、肝心の白煙はあまり観察できなくなってしまいます。弱火で加熱するのがポイントです。

この実験では、大量の白煙が発生するため、屋内での実施は勧められません。特に、煙感知タイプの報知器が作動するおそれもあるので注意が必要です。また、屋外でも地面に枯れ葉など燃えやすいものがある環境では火災につながる恐れがあります。安易な気持ちで実験を行うことは絶対にしないで下さい。

 

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都留文科大学理科教育の一環

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