今回は爆発事故が多い電子レンジを用いた卵の爆発について検証してみた。
動画
電子レンジに卵を入れて加熱すると、卵には熱エネルギーが与えられる。その熱エネルギーが、弾力性のある層構造をもつ卵内部に蓄積されていく。そして、割りばし等で刺激を加えることでエネルギーが一気に解放され、爆発が起こる。特に、卵白と黄身の間にたまりやすい水分が、層構造の破損による急減圧によって気化する水蒸気爆発が起こると考えられる。
動画
こちらはカップラーメンの事故を再現しようとした動画。
・準備物
300mlビーカー、200mlビーカー、スープ、麺 少量、生卵、雑巾、軍手、割りばし、新聞紙
・操作手順
【爆発して周囲に飛び散り汚れるので、新聞紙を敷いておく】
- 300mlビーカーに生卵を殻の破片で膜が壊れないように気を付けて入れる。
- 200mlビーカーにスープ(水)を作って入れ、300mlビーカーの側面を伝わせて静かにスープを注ぐ。卵+スープ(水)=148~150mlになるようにする。(※動画内では、スープは75ⅿl加えている。卵には個体差があるので必ずしもスープ=75mlとは言えない)
- 電子レンジで600W、3分加熱する。(※吹きこぼれ注意。)
- 加熱が終了したら軍手をつけてビーカーを取り出す。雑巾を敷き、その上に加熱したビーカーを置く。
- 割りばしで卵を突き刺してみる。(※スープが広く飛び散るのでメガネ等火傷対策必須)
原理としては、先ほどのゆで卵と同じと考えられる。ただ、卵の爆発に関して検索すると、
【黄身の水分が沸騰→黄身が外部より気圧が高くなり沸点上昇→その熱によって黄身膨張→黄身が外気に触れることで減圧→減圧による沸点低下により君の水分が一気に蒸発→水蒸気爆発】
の流れと記載されていることが多い。水蒸気爆発が起こっていること自体は正しいと思われるが、今回の実験から、白身が爆発していることが分かる。また、白身のみが爆発していることが分かる動画や、卵の膜に穴を空けても爆発する様子を確認できる動画が存在するので、是非閲覧してみてほしい。以上のことから、黄身が爆発するとは言い切れないのである。
加熱の様子を見ると分かるが、白身が先に固化していく。このことから、白身の外側が先に固化し、まだ生状態の内部が沸騰するも外部が固化していることでエネルギーが蓄積される。そして開放することで爆発するのではと思われる。白身の固化による熱エネルギーの蓄積、およびそのエネルギーの一気の開放が爆発を引き起こしていると考えられるだろう。
他に考えられることとしては、卵が蓋の役割をし、沸騰したスープを閉じ込める。卵に穴が開くことで蒸気が飛び出てくると予想する。
メモとして、成功しそうな時は吹きこぼれそうになっていたり吹きこぼれた。また、水から加熱すること、卵全体が水に浸かっている事が大事であるだろう。
監督官をしていただいている先生のブログ(らくらく理科教室)はこちら→らくらく理科教室 (sciyoji.site)
先生のYouTubeチャンネルはこちらから→らくらく科学実験 - YouTube
※都留文科大学理科教育の一環