今回はメッキについて亜鉛を用いて実践してみました。
動画
【動画内使用品容量等メモ】
【下図:実践品一覧】
【使用物】
100mlビーカー、水酸化ナトリウム約 7g、薬包紙、亜鉛粉末 2g、ガスコンロ、温度計、銅片3枚、ピンセット、ペーパー、テープ
【操作】
1. 100mlビーカーに水酸化ナトリウム約7gを取り、水を加えて全体量を30mlにする。
2. 薬包紙に亜鉛粉末2gを取り、水酸化ナトリウム水溶液に入れる。
3. ガスコンロで2.の溶液を加熱する。温度計を用いて80℃に保つ。
4. 銅片2枚をビーカーに入れ、ピンセットを使い銅片を溶液内で揺らして反応が均一に起こるようにする。
5. 加熱をやめる。(※加熱は辞めず弱火で保つ)
6. 色の変化が落ち着いたら、ピンセットで銅片を取り出し、何度も水洗いをする。(※水酸化ナトリウムを使用しているため何度も水洗いを行う。手袋をするとよい。)
7. 銀色になった片の内1枚をピンセットで火の上に軽くかざして加熱する。少し色が変化し始めたところで火からおろし、空気中で放冷する。
【原理】
銅の色が変化するメッキは、次の仕組みである。
両性元素である亜鉛は塩基の水酸化ナトリウムを反応し酸化され、テトラヒドロキシソ亜鉛(Ⅱ)酸ナトリウムイオン《 [Zn(OH)₄]²⁻ 》を生成する。・・・①
生じた電子は水分子と反応、水素が還元され、酸化還元反応が成立する。・・・②
① Zn + 4OH⁻ ⇄ [Zn(OH)₄]²⁺ + 2e⁻
② 2H₂O + 2e⁻ → H₂↑ + 2OH⁻
しかし、銅片を浸すと未反応の亜鉛側から電子が供給され、①の逆反応も起こってしまい、亜鉛も還元されて析出する。
銅片は単に電子の受け渡しをしているのみで、酸化還元反応には関係していない。また、②の反応は、塩基性が強すぎるため右辺のOH⁻の生成にブレーキがかかりやすい。結果、①の逆反応が量的には上回る。
つまり、電子をもつ銅片に亜鉛が析出されてメッキされるということである。
その為、イオン化傾向のみでこの反応を説明することは難しい。また、半電池反応も関連している。
メッキは、内部の金属をさび等から保護する役割もある。メッキが優先的に酸化するので、内部の金属が保護できる。(メッキ例:トタン→銅板に亜鉛をメッキ)
銅の表面に析出した亜鉛は綺麗な金属光沢を見せる。亜鉛の融点は約420℃、銅は約1083℃であり、加熱をすることで亜鉛が溶け、その溶けた亜鉛が銅片の一部に溶け込んで合金(金のように見える)となると考えられている。この合金は黄銅、もしくは真鍮と呼ばれる。
【留意点】
- 水酸化ナトリウムを用いるので、使用した器具は必ず十分に水洗いを行う。
- 水酸化ナトリウムは廃液タンクへ廃棄する。
- ビーカー内に残った亜鉛粉末は、水酸化ナトリウム水溶液部分を洗い流した後、指定の金属製容器に入れて完全に酸化させる。その後廃棄処理等を行う。(※被膜が水酸化ナトリウムで溶けているので、空気中のO₂と反応して発火する。紙などで包んで廃棄すると火事になる危険性あり。)
- 水酸化ナトリウムを用いたのは、表面の酸化皮膜を除去し、メッキしやすくするため。
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※都留文科大学理科教育の一環