銅とマグネシウムの酸化 〜酸素との化合の割合〜

今回は、銅とマグネシウムの化合について実験してみました。

 

※動画は都留文科大学理科教育法の模擬授業の一部

 

動画

youtu.be

 

・準備物

銅粉末 1.2g、マグネシウム粉末 2.7g(各班ごとに数値はランダム。自班はこの分量であった。数値はランダムだが、グラフを作れるように、化合の割合から銅は0.4gずつ、マグネシウムは0.3gの差をつけるとよい。)、ガスバーナー、三脚、金網、ステンレス皿 2つ、るつぼばさみ、濡れ雑巾、電子天秤、薬さじ、ビーカー、ガスライター、軍手

 

・操作手順

  1. ビーカーに入っている銅及びマグネシウム粉末をステンレス皿に薬さじを用いて量りとる。その際、全体が加熱され化合するように、重ならないように薄くステンレス皿全体に広げる。(※実験結果に大きな影響が出るので、しっかりしておかないとグラフが綺麗にできない)
  2. 銅及びマグネシウム入りステンレス皿の重さを量っておく。(※粉末+皿の重さ)
  3. ガスバーナーのねじが両方回せることを確認してから、ガスライターを用いてガスバーナーに点火する。また、濡れ雑巾をバーナー近くに用意しておく。
  4. 三脚の上に金網を敷き、銅入りステンレス皿を乗せて強熱する。
  5. 銅が完全に変化したのを確認してから、るつぼばさみを用いて濡れ雑巾の上に移動させ冷ます。冷めた後、電子天秤を用いて重さを量り、初めの重さから引いて、銅の質量の変化を記載する。(※【加熱後の粉末+皿の重さ】ー【加熱前の粉末+皿の重さ】=初めの質量から変化した量)
  6. 銅入りステンレス皿の冷却中に、マグネシウム入りステンレス皿を強熱する。この際、金網の上で熱するのではなく、軍手をしつつ、るつぼばさみを用いてガスバーナーで直接加熱すること。(※全体を加熱するより、端のみを集中して加熱するとよい。)
  7. 加熱中、マグネシウムの反応が始まったら、金網の上に移動させて乗せ、銅の時と同じように金網の上で加熱を続けながら様子を観察する。また、変化が完全に終了したら濡れ雑巾の上に移動させて冷やす。冷めた後は、電子天秤を用いて重さを量り、初めの重さから引いて、マグネシウムの質量の変化を記載する。(※【加熱後の粉末+皿の重さ】ー【加熱前の粉末+皿の重さ】=初めの質量から変化した量)
  8. 結果をまとめ、差が酸素の化合量であることを示す。また、縦軸に酸素の化合量、横軸に使用した銅及びマグネシウムの粉末量をとり、各班のデータからグラフを作成する。
  9. グラフから、銅やマグネシウムに酸素は一定の割合で化合することを気付かせる。また、比についてまで追求する。【銅(Cu):酸素(O₂)=4:1、マグネシウム(Mg):酸素(O₂)=3:2】

 

・留意点

  • 加熱操作があるので火傷には十分注意を促し、対策する。
  • 粉末は薄く広く広げさせる。または、耐熱皿の上などに広げて全体を時折撹拌しながら加熱する。ただし、撹拌しすぎて全体が加熱不足にならないように注意。
  • 冷却には思いのほか時間がかかるので、手が空かないようにすぐにマグネシウムを加熱したり、指導を行うなど隙間時間を有効利用する。
  • 実験に時間をとられやすいので、授業の時間配分には十分に注意すること。
  • ステンレス皿の中身は金属boxで回収し、処理。ステンレス皿は水で洗浄する。
  • マグネシウム粉末は、比較的高温にしないと発火しない点はポイントである。金網ではなく三角架を使用するとよいかもしれない。
  • ステンレス皿は、各班でステンレス薬さじで廃棄薬を擦って落としてから回収が効率的。

 今回は銅やマグネシウムが十分に広げられておらず、内部にはまだ酸化していない銅などが見られた。また、ステンレス皿では金属粉末がくっついてしまうので、耐熱皿の方が良いようにも思える。さらに、粉末を広げるのではなく時折撹拌する方が過不足なく酸化させられるとも思うが、神秘的な反応の様子を観察できなくなることを考えると難しい。使用する試薬の量等調整が必要と思う。

 マグネシウム粉末は、比較的高温にしないと発火しない点はポイントである。金網ではなく三角架を使用するとよいかもしれない。

 重さの取り扱いも注意が必要である。ステンレス皿の重さを使うのか除くのか。今回はあくまで粉末に化合した酸素の量に着目したいので、差から粉末に化合した酸素の量が出せればよい。反応前の質量は初めに量る量を記載し、加熱後の反応後は、加熱前の状態と比べればよい。そのふたつの値から酸素の化合量が求めらることを、混乱が無いように伝え理解させておくとよい。反応式等の話を冷却時間中に行ってもよいかもしれない。(特にマグネシウムの冷却中は時間がかなり余ると思われる。)

 

以下、反応式。

 

2Cu + O₂ → 2CuO 

 

銅(Cu:原子量)=64、酸素(O:原子量)=16より、

銅:酸素:酸化銅の比は、128:32:160=4:1:5となる。(※32で割るとよい)

 

2Mg + O₂ → 2MgO

マグネシウム(Mg:原子量)=24、酸素(O:原子量)=16より、

マグネシウム:酸素:酸化マグネシウムの比は、48:32:80=3:2:5となる。(※16で割るとよい)

 

銅の鮮やかな変化について

vcpteam.hatenablog.com

 

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都留文科大学理科教育の一環

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