今回は静電気でアルミ玉を動かしてみました。
動画
・準備物
アルミ缶 2個、軍手 1セット、塩ビ管、ティッシュ 5枚、紙やすり、発泡スチロール、輪ゴム、アルミホイル、ストロー
・操作手順
- 輪ゴムを切り、ひもにする。長い場合は短くする。そして、アルミホイルを適量切り、ゴム紐の片端を包みつつ丸めて小さな球を作る。
- ストローに球付きゴム紐を結びつける。
- アルミ球が触れ合るアルミ缶の両面を、やすりで削る。また、どちらか片方の缶は、その削った面とは反対の面も削る。(※削った反対の面に塩ビ管を近づける)
- 発泡スチロールの上にアルミ缶をセットし、プルタブを起こしてその穴にストローを差し込み球を缶の間に吊るす。
- 缶同士の間隔狭める。この際、アルミ玉と缶が触れないように注意しつつ間隔は出来るだけ近づけておく。
- 軍手をし、ティッシュを折りたたんで重ね、塩ビ管を擦る。(動画内では10回程度擦った)
- 擦った塩ビ管を、削ったアルミ缶に近づけて動きを観察する。
- 塩ビ管をアルミ缶に近づけたり離したりする。
・留意点
- やすりで削る際はアルミ粉に注意し、ケガに気を付ける。
塩ビ管をティッシュで擦ると、電子が移動して互いに帯電する。正負のどちらに帯電しやすいかは、物体によって異なる。今回は、ティッシュは正に、塩ビ管は負に帯電している。
負に帯電した塩ビ管をアルミ缶に近づけると、アルミ缶は片側は塩ビ管に引きつけられて正の電荷が偏り、一方は反発して負に偏る。
偏った電荷は、塩ビ管と同じように帯電した物質があると考えることが出来る。負の電荷が偏っている面(負に帯電している物質がある面)にアルミ玉が引き寄せられ、そのアルミ玉が缶に接触することで電子が移動し、アルミ玉が負に帯電する。
負に帯電した面と負に帯電したアルミ玉は反発して、もう片方のアルミ缶へと向かっていく。
もう片方のアルミ缶に負に帯電したアルミ玉が衝突し接触すると、先ほど受け取った電子がアルミ缶へと放出される。そのことによって、アルミ玉は帯電体ではなくなり、衝突した反作用で再び初めの位置へと戻っていく。もしくは、位置エネルギーがあるために振り子のように運動エネルギーに変換されながら戻っていくとも考えられる。
勢いがついている状態に加えて引き寄せられることでアルミ缶に接触し…といったプロセスを繰り返すことで動いている。また、カンカンという音は、アルミ玉が衝突しているときに生じるものである。ちなみに、動かなくなるのは、左右のアルミ缶の電子量がつり合い、中央でアルミ玉が固定されてしまうためと思われる。また、塩ビ管を離したときにもアルミ玉が動くことについては、アルミ缶の電荷の偏りが逆になること以外は先ほどのプロセスが繰り返されていると推測できる。(塩ビ管を離すと反発が弱まり左がマイナスに、もう片方はプラスに電荷が偏る)これらの仕組みは、拍検電器と共通な点がある。
缶を載せる台は絶縁体が望ましい。今回は発泡スチロールが最も適していた。また、アルミ玉を吊るすひもは輪ゴムが良い。それは、電気を通しにくいのに加えて弾性があるので、カンカンの成功率が高い。一応タコ紐でも行ったが、塩ビ管を近づけた時にタコ紐に影響が及んで、ひも表面の毛が立って、アルミ缶への影響が小さくなってしまっているようであった。
更に、フェルトで塩ビ管を擦ると激しく動いた。ティッシュで上手くいかない場合は、フェルトを使用することをお勧めする。
指でアースすれば、アルミ玉が動くと思われるが…
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※都留文科大学理科教育の一環