レモンが電池に?!『レモン電池』

今回はレモンを用いて電池を作成してみました。

 

動画


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この実験には多くの注意がある。

①レモンに触れるためクエン酸が手に付くので、リード線や銅板がすぐにさびてしまう。早めに濡れ雑巾等でふき取る。

 

②金属イオンが溶け出ているため、実験に使用したレモンや金属に触れたクエン酸付きの手で触れない。(※有毒なため)

 

③銅板等は加工によってはケガをしやすい形なため、注意する。

 

④なるべく酸性の強い果物や野菜を使う方が良い。(変化が観察しやすい)

 

⑤汁が出るので、容器の上にレモンをセットしたうえで行うとよい。

 

レモンなどの果物にはクエン酸やミネラルが含まれている。これらを含むものの溶液は電解質で、電極付近の反応に関わる。亜鉛クエン酸によりイオン化傾向が高いことから溶けだす。亜鉛イオンとなる際電子が放出されるが、その電子がリード線を伝って銅板に移動する。亜鉛板から銅板まで電子が動く道(今回はリード線)に電気で動くものを挟めば、電子が通過して電気が流れる。ちなみに電子を放出する亜鉛板側が負極(ー極)、電子を受け取る銅板側が正極(+極)となる。この板を深く差し込むことで亜鉛が溶け出る面積が増加し、電子の放出量も増加するため、電池がパワーアップしたように見える。(その分劣化も早い)

電解質を使うのは、電極が溶けて電子が放出されるのと、電極の周りに発生する電荷をイオンにより移動させて電荷のバランスを保ち、電子を連続的に取り出せるようにする為である。

 

今回使用した電子メロディーの曲はハッピーバースデーである。LEDライトは足の長い方が+極(アノード)、短い方がー極(カソード)である。ものによっては足を広げられるものもあるので、今回のような実験の時は足を広げるとやりやすい。

 

また、マグネシウム亜鉛代わりに使用すると起電力が上がったのは、マグネシウムの方が亜鉛よりもさらに溶けやすいことが理由である。溶ける速度が速い分、電気の生成速度も上がると考えればよい。

 

ちなみにレモンが電池としてよく取り上げられるのは、酸の電離度、水素イオン濃度、酸性が高いことにある。他の果物(リンゴやサツマイモなど)でも出来なくはないが、非常に弱い電池になってしまう。電解質を含む水溶液を用意しなくてはならないが、それは正極(銅板)に溜まる電子をイオンになりたくない傾向が強い水素イオンが消費する仕組みが機能する必要がある。

 

亜鉛板で放出される電子は亜鉛周辺の水素イオンと反応することはもちろんあり、亜鉛板周辺で水素ガスが発生はする。しかし銅板に電子が移動して水素を発生させることの方が起こりやすい。水素イオンが水分子に還元される状態で、亜鉛より銅の方が良い触媒になっているために反応速度に差が出ていると言える。そのため、綿密にはイオン化傾向の差から銅板で水素ガスが発生するとは言えず、本当の正極は電子を受け取る水素イオンであると言えそうである。

 

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都留文科大学理科教育の一環

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