水ガラスと美しいケミカルガーデン 浸透圧

今回は美しいケミカルガーデンを作成してみました。

 

動画


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ケイ酸ナトリウム(水ガラス)は、水に溶解すると塩基性を示す物質である。そこに酸性のもの(今回は塩酸使用)が加わる(中和する)とケイ酸が急激に凝集してゲル化し、硬化する。反応式としては次である。

 

Na2SiO3 + 2H+ →  H2SiO3  + 2Na+

(ケイ酸はゲル化)

 

ケイ酸ナトリウムは弱酸のケイ酸と、水酸化ナトリウムとの塩である。そのため、強酸の塩酸により弱酸の遊離が起こってケイ酸(ゲル)が沈殿してくる。ゲル化したものを加熱乾燥するとシリカゲルと呼ばれるものになる。粘性が高い水ガラスは接着剤や耐火塗料に、シリカゲルは乾燥材として用いられる。

 

この硬化を利用したものがケミカルガーデンである。

金属塩は元々強酸と弱塩基の塩で、水に接触すると加水分解を起こし、局所的に加水分解による酸性の部分が出来る。その酸性の部分が金属塩の周りに出ることで、近くの塩基性のケイ酸と反応しケイ酸がゲル化。(これは先ほどの実験原理と同じ)

ゲルが金属塩を包む形となる。しかし結晶付近の浸透圧が高いため(水素イオン濃度がゲル内で上昇)に、ケイ酸水溶液内の水分子がゲル内に侵入する。すると、ゲル内が段々と水で満たされ、許容範囲を超えた時にゲルが割れてしまう。割れる際、水圧が弱いゲル上部が一番初めに破れてしまう。その破れたとこからゲル内の酸が出て、周りのケイ酸ナトリウム水溶液と反応して中和してゲル化…の繰り返しで上へ上へと枝状に伸びていく。しかし成長している枝は金属イオンを少し含んだ非結晶のゲルであり、金属結晶そのものが成長したわけではないのでもろく崩れてしまう。金属イオンの色が見えているのでカラフルになっている。

 

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都留文科大学理科教育の一環

 

【観察の様子】

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