マグヌス工作 〜マグヌスカップ〜

今回は、紙コップやプラカップを用いてマグヌス効果について実験してみました。

 

動画

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・準備物

プラカップ 2つ(紙コップでもよい。耐久面でプラカップ推奨。今回は220ml程度のもの使用、大きいものでは重いので非推奨)、割りばし、輪ゴム 4つ、テープ

 

・操作手順

  1. プラカップの底同士を合わせ、テープを巻き付けて固定する。
  2. 輪ゴムをつなげて一つのひもにしつつ、割りばしに巻き付ける。その後、割りばしに巻き付けた部分をテープで補強してゴムがずれたりしないようにする。(※輪ゴムを割りばしに取り付ける際は、なるべく割りばしの先端に結びつける)
  3. プラカップの接合部分に輪ゴムを3周ほどきつく巻き付ける。
  4. 割りばしを持つ手を発射先に向け、プラカップに巻き付けた輪ゴムを外れないように持つ手でカップを力強く引き、そのまま手を放し飛ばしてみる。(※割りばしを持つ手は、割りばしの真ん中か少し下を持つと、カップが手に当たらずに飛ばすことが出来る。)

・留意点

  • 必ず飛ばす先に人がいないことを確認し、広い空間で行うこと。
  • 力強くカップを引くので輪ゴムが切れてしまう場合があるので注意。
  • 紙コップにマジックなどで着色すると、回転している様子が観察できる上にカラフルで楽しいと思われる。回転しても見える絵柄を描くとよいかもしれない。
  • 下から上に飛ばすと面白い挙動を見せるのでトライするのがオススメ。様々な飛ばし方をしてみて動きの違いを観察する。
  • カップを使って的を作成し、的当てゲームを楽しむのもよいかもしれない。

 

フォークボールをこの内容で説明は出来ないかも…。回転力が低く揚力が無い分落ちるのがフォークボールと言えるかも…低速回転と縫い目がポイントらしい。そういうことから、反作用による揚力のみでは説得力にかけるかもしれないが、是非この記事を読んで頂きたい。】

 

紙コップは進行方向に対して逆に回転している(バックスピン)。その回転に周囲の空気が巻き込まれ、その反作用で揚力を得て不思議な挙動を示す。しかし、作用反作用は下向きにもかかると思われる。実際は、進行方向に対して空気の流れは対抗する流れである。そのため、カップ上部では流速が速くなり、カップ下部では流速は遅くなる。流速が速い上部の方が働きが強くなるので、揚力が生まれる作用反作用の方が優位に働き浮いたような軌道を見ることが出来る。

 

詳しく書くと、空気の分子が回転する物体に張り付き、その表面を引っ張りながらやがて分離する。今回のようなバックスピンの場合は、カップ上部は巻き込んで流れる空気によって回転し、空気の分子は長く張り付く。一方カップ下部では通り過ぎて流れる空気と対抗するような回転がかかっているため、空気の分子は速く分離する。このように周囲の空気を引きずるような現象が起きている。それによって流速がカップ上部と下部で変わることで、ベルヌーイの定理により上部は圧力が小さく、下部は大きくなるので揚力が発生する。しかし、ベルヌーイの定理は粘性を考えないとしているので、自身としては今回の事象には不適当ではないかと考える。

 

コアンダ効果が関係してるともいえるが少なくともいえることとしては、剥離点の違いである。カップ上部はまとわりつく空気分子が離れる点(剥離点)が、下流側にずれており、空気の流れが曲がる。その流体が動いた分の作用反作用によって揚力を得ていると考えるのが良いと思われる。負のマグヌス効果では、剥離点が上流側にずれて空気の流れが曲げられているため、同じような考えから下に落ちるのではないかと考える。

 

【流速と圧力の関係図】

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【剥離点が下流にズレる事により、下側に曲げられた流体からの作用反作用による揚力を受けている図】

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また、カップの上部と下部では流体の速度の差により遠心力に違いが出る。上部は遠心力が強く働くのでカップ表面の空気分子が剥離し圧力が低下。一方下部では表面に空気分子を押し付ける形となるので圧力は平均的に上昇するため、圧力の差から揚力が発生するとはいえるかもしれない。又は、空気密度は上部の方が小さい。そのため其方に物体が移動すると考えても良いかもしれない。更に、空気の流れは物体の側面にそって曲げられる。回転方向も相まって上部の方が曲げる力が強いため、空気を多く曲げた上部の方がより強い反力を受けて浮かぶとおもわれる。

 

空気、流体の流れと回転の流れが一致するとお互いが助け合い、流れの速度が増す。そのため流線が集まり、逆では打ち消し合うことで圧力差が生じるともいえるのかもしれない。詳しい式や詳細は今回は省略とする。

 

負のマグヌス効果では、今紹介してきたマグヌス効果(正のマグヌス効果とする)とは逆の現象が起こると思われる。

 

また、揚力は回転数が大きくなるほど強くなるため、今回よりもさらに回転数を上げることが出来れば、更に高く上がる可能性もある。このマグヌス効果は船や飛行機などにも使われたことがある。また、ボールの形によって効果の影響力も変化するため非常に面白い。

 

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