熱した油に洗剤を注ぐと何が起こる?
【概要】
水を入れると危険な熱した油に洗剤を入れることで起こる変化の違いを観察する。(※危険な操作であるため、十分に注意して操作を行うこと)
動画
準備物
フライパン、サラダ油、食器用洗剤(弱酸性)
操作手順
- フライパンに油を適量注ぎ、加熱する。
- ある程度加熱したら火を止め、洗剤を注ぎ入れる。
留意点
- 洗剤を注ぐと熱気が吹きあがるので、真上から観察はしないこと。
- 水を入れないこと。
- 油が跳ねる場合があるので、周辺を片付け汚れてもいいようにしておくこと。
解説
通常、水を熱した油に入れると油が跳ねる。これは、水の状態変化が関係している。水と油では水の方が重い。そのため、油内に水が入る。しかし、油は100℃以上を超えているために、水は温められて、あっという間に沸点に達してしまう。そして、気体に爆発的に変化した結果、水が膨張して油を弾き飛ばしてしまう。
しかし、洗剤を入れると油が跳ねないのはなぜか。これは、界面活性剤の働きによって水の表面張力が弱められ、洗剤内の水が水滴ではなく膜となり泡を形成するからである。水は表面張力が強いために、基本は水滴になる。しかし、界面活性剤があると表面張力が弱められ、水滴になる力が弱まってしまう。また、界面活性剤は膜を強化する。その結果、水滴ではなく表面積の大きい膜になる。この膜が連なることで泡となるが、この泡がクッションとなり油が跳ねるのを防いでいると考えられる。また、気体に変化した水蒸気は泡の形成の他、泡の隙間をすり抜けて外に出てきている(湯気が立ち上っていることから推察)ため、泡がある程度膨らむのには水蒸気も関係していると考えられる。【下図:解説図式】
封筒の中身が見える?!なぜ???
【概要】
光の透過と反射について学ぶ。
動画
準備物
封筒(何でもよいが、今回は洋形長3号(白)、長形4号(茶)の100均のものを使用)2つ、のり、トイレットペーパーの芯、ライト(今回はスマホのライトで代用。目を傷める可能性があるので強い光源は使用しない。)、ペン、メモ用紙等イラストを描ける紙
操作手順
- 封筒を2つ重ねてのり付けし、厚さを増す。
- 紙にペンでイラストを描き、重ねた封筒の後ろ側(下側)にその紙を入れてイラストが見えないことを確認する。
- 封筒の裏側からライトを当てつつ、逆側からトイレットペーパーの芯を当ててのぞく。
留意点
- 強い光源は目の負担になるので使用しない。また、直接のぞかない。
解説
光が当たると封筒の表面で反射するものと透過するものがある。しかし、見る部屋が明るい(見る側が明るい、光源側と見る側の明るさに差異が無い)と反射する光が糖化する光よりも多いため、反射する光が多く目に入り封筒の表面が良く見えてしまう。しかし、トイレットペーパーの芯でのぞくことにより、封筒表面での反射光の影響を受けにくくなる分透過光をよく見ることができるようになるので、中身が見える。トイレットペーパーの芯を使わずとも、部屋を暗くして片側から光を当てれば同じ状況を作れるので、中身をのぞくことは可能かもしれない。ただ、中身が完全に遮光された仕組みになっている封筒はのぞくことは出来ない。似た原理としてマジックミラーがある。
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りんご搾汁残渣から水素を得る実験
【概要】
りんごに付着している微生物を利用して、水素を得た後に水素燃料電池を用いてソーラーモータを稼働させる。
動画
準備物
バイオ水素エネルギー学習キット、イオン交換水、早生ふじりんご2個、おろし器、手袋、排水溝ネット
操作手順
- 手袋をした後、りんごをすりおろして排水溝ネットで絞る。その後、キットに搾りかすを入れて発酵を開始する。
- 発生した水素を捕集して燃料電池に通す。
留意点
- 残った搾汁を扱う場合は、衛生等に気を付ける。
解説
糖を利用して、嫌気性細菌が水素を生成する実験を行った。㏗が7.0に近くなり保つことができるように薬品を用いて緩衝液を作成し使用した。また、溶媒にイオン交換水をもちいたのは、消毒に使用される塩素による最近の死滅を防ぐ為である。
こちらの文献を参考にさせていただきました→Chemical Education Journal, Vol.15, No.1 (utsunomiya-u.ac.jp)
土壌の呼吸を観察してみよう!
【概要】
土壌に生息する微生物の呼吸を観察し、生息に適した土壌の条件を調べる。
動画
準備物
ろ紙片(1㎝辺の正方形)×観察する場所分、針金(曲げやすいもの。10㎝程度あればよい)×観察する場所分、ピンセット、シャーレ、フェノールフタレイン溶液、集気びん(透明な容器であればなんでもよい)
操作手順
- シャーレにフェノールフタレイン溶液(0.01M水酸化ナトリウムにフェノールフタレインを入れる)を適量だし、そこへ切ったろ紙片をピンセットを用いて浸す。
- 針金を円を描くようにばね上に数回巻き、余った部分は縦にして、調べたい土壌に差し立てる。
- ピンセットを用いてフェノールフタレイン溶液に浸したろ紙片を、針金に挟み込む。
- 風で飛ばされないように集気びんを被せた後、色の変化が出るまでの時間を計測する。
留意点
- アルカリを用いるので、扱いには注意すること。また、浸したろ紙片をシャーレに浸して持ち歩くことが不安な場合は、トレーやラップの上に移して運ぶこと。
- フェノールフタレイン溶液に浸したろ紙片の色が薄い場合は、水酸化ナトリウムを追加する。色が濃い方が、色の変化に時間がかかる分、変化をはっきりと観察することができる。
解説
土壌には多くの微生物や土壌動物が生息している。それらが呼吸をする際には、CO₂が発生する。そのCO₂がフェノールフタレイン溶液を浸したろ紙片に溶け込むことで、中和が起こり段々と酸性寄りになっていく。そのため、フェノールフタレインの変色域からpHが外れてしまい、色が薄くなっていくというわけである。水酸化ナトリウムの濃度、ろ紙片にしみ込ませた溶液の量を正確に定めておけば、単位時間当たりにどれだけの呼吸が行われているのかを測定することも出来る。
化学変化と原子・分子 水素と酸素の結びつき
【概要】
物質の結びつきを体験できる実験を安価で行えるように実践した。
動画
準備物
ガスコンロ、ピンセット、塩化コバルト紙、シリンジ(30ml以上だと便利)、チャック付き透明袋(スライダー式ではない)、酸素ガス缶、水素ガス缶、圧電素子、ワニ口クリップ、ビニールテープ
操作手順
装置作成
- 圧電素子にワニ口クリップを取り付ける。
- もう片方の口にビニールテープを巻き付け、放電が観察できる状態にする。
実験
- チャック付き袋に圧電素子装置を奥に入れる。その後、チャックを9割ほど閉めておく。
- ガスコンロとピンセットを用いて塩化コバルト紙を焦がさないように乾かす。(※なるべく実験直前に行うとよい)
- シリンジを用いて、水素20ml、酸素10mlを計りとる。(※ガスは慎重に押し出すこと。急激に取るとシリンジが吹き飛ぶ恐れがある)
- チャック付き袋内に塩化コバルト紙を入れ、測りとった混合気体をガス缶のチューブを使用して袋奥に入れる。(※塩化コバルト紙は着火装置の近くにあるとよい)
- 素早くチャック付き袋の口を閉じられるところまで閉じ、圧電素子を押して着火し塩化コバルト紙の変化や、袋内の様子、また袋に触ってみる。
留意点
- ガスをとる際は、ゆっくりととること。シリンジが吹き飛んで事故が起きるため。
- ガスを封入してから着火までは速やかに行うこと。気体が逃げてしまうので口をしっかりと閉めた後に着火する。
解説
水素と酸素が結びつくことで水ができることを確認させる演示実験。
2H₂ + O₂ → 2H₂O
各原子の状態(H₂やO₂)よりも化合した方(H₂O)がエネルギー的に安定なので、余分なエネルギーが熱となって出てくる。そのため、着火後に袋に触れると熱を感じることができる。ちなみに、燃焼熱は284kJ(水素1㏖、酸素0.5㏖から水1㏖が生成された時)であると言われている。
【指導案及び使用ワークシート例】
塩化コバルト紙の色の変化についてはこちら
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※都留文科大学理科教育の一環
硫酸ナトリウムの再結晶 ~まるで氷のような結晶が?!クジャク結晶~
【概要】
過冷却による再結晶の様子を硫酸ナトリウムを用いて観察する。
動画
準備物
硫酸ナトリウム十水和物 10g、薬包紙、電子天秤、水65g入り300mlビーカー、水250g入り300mlビーカー、氷水450g入り500mlビーカー、100ml丸底フラスコ、軍手、薬さじ、温度計、試験管立て、試験管(温度計を入れる用)、ガスコンロ、スタンド、ピンセット
操作手順
- 薬包紙と薬さじ、電子天秤を用いて硫酸ナトリウム十水和物を85g計りとる。その後、水65g入り300mlビーカーに入れてガスコンロで加熱して溶かす。(※溶けきらないので、温度計を用いて45℃まで加熱する。)
- 加熱して溶かしきった水溶液を軍手をしてから100ml丸底フラスコに入れる。その後、その丸底フラスコをスタンドにセットする。
- 氷水に丸底フラスコをつけて冷却する。さらに温度計を用いて、27℃まで冷却をする。
- 冷却が終了したら、ゆっくりとフラスコを氷水から取り出す。(※この際ゆっくりと操作を行うこと。刺激を与えると結晶化してしまう可能性があるので注意)
- 事前に用意していた硫酸ナトリウム十水和物の結晶をピンセットを用いて丸底フラスコに入れ、結晶化させる。(※もしくは衝撃を与える。)
- 結晶化後、水250g入り300mlビーカーで丸底フラスコを湯煎して結晶を溶かせば再び実験が可能になる。
留意点
- 加熱操作があるので火傷に注意する。
- 結晶は事前に用意しておくこと。その際は、ボトル内から結晶を取り出しておくのでも良い。
解説
宮沢賢治さんの物語に登場するクジャク結晶を再現する操作を紹介した。氷のような現象については下記の記事を参照のこと。
【実験過程メモ】
水:硫酸ナトリウム十水和物=10g:13gの割合
100ml丸底フラスコに120ml。湯煎で45℃に加熱、その後氷水で25℃まで冷やして下げる。20℃まで下げると結晶が良く見えるが、操作難易度が上がるため、25℃まで冷却してからの操作の方が扱いやすい。結晶でなく衝撃で凍れば関心を強く引けるかもしれない。
【プロット】
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※都留文科大学理科教育の一環
跳ねない卵、なぜ? 【非弾性と弾性】
【概要】
冷凍した卵を用いて跳ね方を考察する。
動画
準備物
卵、ラップ、器
操作手順
- 卵をラップに包み、冷凍庫で冷凍する。
- 凍った卵を取り出し、殻付きの状態で落としてみる。
- 殻を取り外した状態で落としてみる。
留意点
- 生ものなので扱いには十分に注意する。
解説
殻が付いているとき、卵は非弾性を示しつつも弾性の様子も示した。一方、殻を外した卵は非弾性のみを示した。
殻が付いているときは、硬い素材でおおわれており、元に戻ろうとする力があるためにはねているように見えると考える。しかし、内部の卵は時間経過で溶け、シャーベット状になる。これは、衝撃を受けると形を変える他元の形状に戻ろうとはしないので衝撃が跳ね返りに用いられず跳ねないと思われる。跳ねさせるようにするには、卵の殻を酢で溶かしてボールのようにするとよい。また、そのタンパク質を酢以外で固めることができれば強固なボールを作ることができる。
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※都留文科大学理科教育の一環